文春文庫<br> 美貌の女帝 (新装版)

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文春文庫
美貌の女帝 (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 447p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167200510
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

壬申の乱から藤原京、さらに平城京へと都がうつる激動の時代。その裏で皇位を巡って氷高皇女が懸命に守り抜こうとしたものは――。

悲劇の女帝を描いた長編歴史小説の新装版

壬申の乱から藤原京、さらに平城京へと都がうつる激動の時代。その裏で皇位を巡って氷高皇女が懸命に守り抜こうとしたものは――。

内容説明

壬申の乱を経て、藤原京、平城京へと目まぐるしく都が遷る激動の時代。その裏では、皇位をめぐり歴史の節目となる大変革が進行していた。繰り返される裏切り、陰湿なる策略…その矢面に立たされた氷高皇女=元正女帝が自身のすべてを政治に捧げ、守り抜こうとしたものとは。悲劇の女帝を描く長編歴史小説。

著者等紹介

永井路子[ナガイミチコ]
大正14(1925)年、東京に生まれる。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。昭和40年、「炎環」で第52回直木賞受賞。57年、「氷輪」で女流文学賞受賞。59年、第32回菊池寛賞受賞。63年、「雲と風と」で吉川英治文学賞受賞。平成21年、「岩倉具視」で毎日芸術賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃいろ子

47
持統天皇の孫娘である氷高のちの元正天皇の小説。後に栄華を極める藤原家の不比等との権力を巡る戦いが描かれているのだが持統→元明→元正と続く女性天皇たちが絶対に守りたい蘇我の血、そして絶対に入れたくない藤原の血。結局はどれもエゴではあるのだが読んでいる時は元正の孤独な闘いに手に汗握り、一緒に絶望したり。 頂点に立つ人の深い孤独を感じた。 どんなに打ちのめされて屈辱を感じていても、けしてそれを表に出さず美しい顔で冷たく微笑んで政敵を見つめ返す元正に心を揺さぶられた。 2022/07/02

take5

31
天武と持統の子草壁の長女の氷高皇女(元正)が主人公の物語です(14歳から没年まで)。続紀に元正の記事はあまりないようですが(ちなみに氷高は「婉レン」=「あでやかで美しい」とあり)、藤原京への遷都、高市の死、弟文武の即位、持統の死、母元明の即位、平城京への遷都、元正自身の即位、聖武の即位、長屋王の変など時代の大きな動きの中で、持統、元明、元正と藤原氏(不比等、三千代、藤原四兄弟など)との暗闘が想像力豊かに描かれていて、持統朝から聖武朝に至る50年余りの史書の裏側をリアルに垣間見た感じで非常に面白かったです。2021/11/05

紅香

26
蘇我稲目の娘、堅塩媛が欽明天皇の妃の一人となったことから始まった。150年間蘇我の娘たちはいつも天皇の妃、あるいは天皇の母であり続けた。『私たち蘇我の娘たちには、どのみち平坦な生涯は許されないのだから』時の権力者が天皇の妃となり、子を産む。血脈を賭けた玉座。守り抜いても虚しさだけが残る。目の前を駆け抜けては消えていった亡霊の数々に圧倒される。血という使命感。盤上の駒のようなこの地上に悔恨を残した悲しみの塔が何と多いことか。それを知らずして、その土地にみだりに足を踏み入れてはいけないのだと強く思った。2021/02/11

雛子

22
たぶん永井作品は初めて読む。古代史、とりわけ奈良時代となると、正直ごちゃごちゃしていてよくわからなくなる。途中の系図に何度も救われた。主人公は氷高皇女、のちの元正天皇。祖母は持統天皇で、母は元明天皇。弟は文武天皇で甥は聖武天皇。物語は壬申の乱のあとから始まる。蘇我氏と藤原氏の争いは静かに確かになお続く。女帝たちが嘆息を洩らすたびに、読んでいるこちらも嘆息を洩らしてしまいそうな。なんだか、昼ドラでも見ているような感覚さえしてきた。作者なりの、この目立たない女帝の存在の解釈は興味深い。2013/05/12

あまね

20
里中満智子先生の『天上の虹』がお好きな方には、特にオススメです。持統天皇以降のお話が詳細に綴られています。主人公は、聡明で美しい氷高皇女。第44代元正天皇です。この作品を読んで長屋王のイメージが変わりました。壬申の乱の遺恨がくすぶり続け、蘇我の娘たちの誇りと藤原家との凌ぎを削る対立に胸が痛みます。先日読んだ葉室麟さんの『緋の天空』とはまた違った視点からのものなので、両方読んで良かったです。2018/06/02

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