出版社内容情報
信長の妹・お市と浅井長政の末娘・おごう。のちに二代将軍・徳川秀忠の正室となった彼女の運命をあざやかに映し出す傑作長篇小説。
内容説明
織田信長の妹・お市と近江の雄・浅井長政の間には三姉妹がいた。長女・お茶々は、秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。彼女には、実に波乱に満ちた運命が待っていた―。おごうの生涯を描く長篇歴史小説。
著者等紹介
永井路子[ナガイミチコ]
大正14(1925)年、東京に生れる。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。昭和40年、「炎環」で第52回直木賞受賞。57年、「氷輪」で女流文学賞受賞。59年、第32回菊池寛賞受賞。63年、「雲と風と」で吉川英治文学賞受賞。平成21年、「岩倉具視」で毎日芸術賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
122
嫉妬深い将軍御台所、春日局のライバル…。大河では上野樹里さんが好演しましたが、私的におごうの印象はあまり良い方ではありません。何かを為した女傑でもないですが、永井さんの筆致にかかると戦国に生きる女の鮮やかな叙事詩と叙情詩になってしまうのが流石です。上巻は彼女の若き流転の日々。浅井三姉妹の末娘として生まれ、父母と死に別れ、秀吉の比護下で静かに暮らす少女時代。初めは佐治家に嫁ぎ、次は秀吉の甥秀勝と再婚。泰然自若か無我の境地か、あらがうことなく流れに身をまかせ生きるおごう。侍女おちか目線の語りが効いてます。2021/05/29
ソーダポップ
24
2011年に放送された、大河ドラマ「江~姫たちの戦国〜」を連想して読んだ。天真爛漫、快活なお江を想像して肩すかしをくらった。作中のお江は、「薄ぼんやり」「阿呆」「重鈍」などと表現されている。主人公はお江だが、彼女の考えや言葉はほとんど出てこない。すべて侍女の「おちか」の目を通して語られる。そんな、数少ない言葉の中に図太さが見えかくれするのも面白い。上巻は、朝鮮出兵までが描かれているが、その後二代将軍「徳川秀忠」に嫁ぎ、徳川初期時代の大奥の支配者になっていく過程が、どんな風に描かれているのか、下巻も楽しみ。2023/08/10
佳乃
21
おごうさま、何を考え思っているのか全くわからないよ。けれど、その無口さが幸とでることもあり、なかなか面白いところでもある。おちかにしたらハラハラせずにはいれないこともあろうが、私的には「おごうさまはこれでいいんです」と思えてならない。人生長いようで短いけれど、与九郎殿と離縁後のおごうさまがどうなられていくのかが楽しみでならない。また、おちかはいつになればちくぜんに心惹かれているのに気づくのか・・・2020/01/13
エドワード
17
永井路子原作の本作品では大河ドラマは出来なかったろう。まず浅井三姉妹の仲が悪い。ごうは浅黒い肌で無口でのろま、美貌で誇り高い茶々と初にいつも馬鹿にされているという設定だ。上巻では最初と二番目の夫、佐治一成、豊臣秀勝との生活が描かれる。今年の大河ドラマでは、茶々が「両親の仇」と忌み嫌っていた秀吉の求愛を受け入れていく過程が丁寧に描かれていた。歴史ものは色々な解釈があって面白い。下巻へ続く。2011/12/04
紫鈴
16
おごうの生涯のはずが、主役はおちか(傍付き)。おごうはおっとりしすぎで作品中誰よりも口数が少ないので、イマイチ感情が読み取れない。その分たまに呟くように出た言葉がとても重く感じる。気のキツイ姉ふたりの下でずっと我慢するしかなかった独身時代。秀吉に振り回され何度も嫁がされ、人生諦めてしまっているのがなんとも哀れ。☆42021/12/18