出版社内容情報
盗賊の一味の男が出会った天女のような女の正体は? 古典のユーモアと風刺をいかし、今も昔も変わらぬ人間たちを描く異色の七篇
内容説明
盗賊の手先として貴人の屋敷に住みこんだ男は、天女のように美しい女と出会い、夢のような日々を送るが(第1話)。くぐつの仲間に入ってきた不思議な娘のおかげで一座の人気が高まり、ついに左大臣邸に招かれる(第6話)。古典の「今昔物語」のユーモアをいかし、今も昔も変わらぬ人の哀歓を描く出色の7短篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴木 千春
3
はじめに 「『今は昔』でなくて、『今も昔も』という感じで読んでいただけたらと思います。」 「ご自分の周りに出没する現代人の顔を、登場人物にはめこんで読んで下さるなら、私の幸い、これにすぎるものはありません。」 のとおり、読みやすくユーモアとペーソスにあふれていました。 学校で習ったような記憶がうっすらあるが、こんなに味わえるものじゃあ無かったような、、、 今昔物語の真意を伝えたいなら、永井路子作品を教科書採択を推薦します。 無理だよね~(舌)2023/11/05
いちじく
2
今昔物語を読みやすくアレンジした本。どの話も性的な駆け引きがあって、しかも決してハッピーエンドって訳じゃないのに読後感は悪くない。いつの時代も庶民はどこか冷めた目でお上を見ていて、諦念を持って生きているんだなぁ。今も昔も人間の根本が変わらないからどの話も古くさく感じないんだろう。2022/07/14
ますみ
0
今昔物語をベースに、読みやすくアレンジした作品。でも、平安末期の不安定な感じが伝わってくる作品に仕上がっています。本家、『今昔物語』にもそのうち、チャレンジしたいかも。2015/07/28
ナオ
0
今昔物語を基盤に登場人物の性格や関係性は作者の創作性でもって描かれた短編集。風刺の利いた作風は現代にも通じるものがあり、読後はその痛烈さに胸が堪えた。もう少し元気なときに読んでいれば、その主題も痛快に響いたのだろう。2019/04/07