出版社内容情報
世界に通用しないニッポン式英語発音の奇妙さに驚き、幼児の語学教育にとりくんだ著者の情熱あふれる体験記録。英語教育界に波紋を投げかけた話題の大宅賞受賞作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Riopapa
11
自分がちょうど英語を学び始めたころに書かれた本。大学院の時に一度読んだものを25年ぶりに再読。今となると耳の痛い話ばかり。この本が出たころと比べ、英語の必要性は格段に増し、英語教育も随分と変わったが、日本人の英語との付き合い方はほとんど変わっていないことに驚く。2015/09/09
sabosashi
8
むかし、ひところ、かなり話題になっていた本ではないかと思うが、英語アレルギーへの対処法のひとつでしかないだろうとたかをくくっていた。 しかし読み始めてびっくり。 この作品には哲学があり、ニホン人の欧米理解に深く立ち入っている。 発音ひとつを取ってもただ舌をこねこねくにゃくにゃさせるだけでなく、口蓋の全体運動としての英語を重視。 なにしろ著者の経歴がユニーク。 ロシア領ウラジオストックにて成長、つまり幼いときから多言語世界を意識。 2016/02/02
poku
5
通訳を目指しているのであれば読むべき一冊。 ネイティブにいつまでもちやほやされていては本当の意味で対等の立場に立てないよというのは本当に留学していた時に感じた。 ネイティブの声に集中するのではなく、いかに自分の声でその言語をしゃべるかが大切。2014/05/22
アンブレラ☆
4
自己を認識することが英語を学ぶことなのである。作者は哲学のみならず心理学の領域まで、知らずに言及していると思う。ところで、作者は幼少期をロシアで過ごされている。数年前に亡くなられた米原万里さんも幼年期をロシアで過ごされている。おふたりの感覚の似ていることに驚く。と同時に私はこういう感覚、こういう考え方、こういう文章が好きなのだな、としもじみ思ったのだった。2012/10/02
Nobu A
3
寺沢拓敬著書のタイトルにもなっている「『なんで英語やるの?』の戦後史」で知り得た本著。1973年初版の文庫本。通訳の父親の仕事で12歳までロシアで過ごし、米国留学を経て帰国後、岩手県で英語教室を開校した著者。悪戦苦闘の中で日本の英語教育に疑問を抱き、答えを探究していく体験記。言語的距離が遠く、教室外での使用機会が乏しい英語が難しいのは今では定説だが、言語学の知見がない学習者の視点が新鮮であると同時に、著者の試行錯誤の中での苦労が目に浮かぶ。寺沢先生を含め多くの英語教育関係者に多大な影響を与えた伝説の著書。2022/04/02