出版社内容情報
お家断絶となった赤穂藩の藩士たちを待ちうけていた運命は──。仇討ちにいたるさまざまな隠されたいきさつを現代的手法を駆使して描いた「忠臣蔵」の意外な実像
内容説明
主君と藩を喪った赤穂の武士団はたちまちにいくつにも分裂した。仕官の口を求めて去る者、主家の再興に賭ける者、吉良への復讐に燃える者、塩業経営に浪士救済を図る者…。仇討派にも、世論の圧力の前に多くの脱落者が出た。が、大石内蔵助は吉良を討つ道を選択した。そして伝説が始まった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
24
○討ち入りそのものより討ち入りまでのアプローチやその後が良かったです。参加しなかった赤穂浪人が不義士扱いになり非難されたり、事件がすぐ忘れられるのは空気に流されやすく多角的なものの見方が苦手な国民性を表しているように感じました。近松門左衛門の事件に対する総括が素晴らしく、堺屋さんが言いたいことなのだろうと思いました。2023/07/04
こすとがいん
14
善意の人達が、それぞれに善意を尽くし、そして不幸を作り出す。重たい言葉ですね。運と御縁と世の中の流れによって個人のささやかな努力は儚く消えていく。次作、「俯き加減の男の肖像」に明るい未来を期待!2015/09/25
こすとがいん・その2
7
忠臣蔵となった最終巻。時代は峠をこえて下り坂へ、なんとも哀しき終わり方であった。2022/11/30
BIN
6
ついにで最終巻、討ち入りです。討ち入り自体はあっさりしている。討ち入りまでの金欠による生活苦とそれによる脱落、また討ち入り後は参加しなかった面子が不義士として非難され、参加しなかった特に少禄にとっては迷惑極まりない。討ち入りが正義として描かれてないのが本作品か。近松の「それぞれに善意な人がそれぞれに最善を尽くして、それぞれに不幸を作りあおうた」というのは印象的。悲しいなあ。2016/12/23
takumi
1
忠臣蔵は終わったー七郎次と素良の恋も終わったー元禄も終わったーこの世の無常さを感じた。2013/05/04