出版社内容情報
悪性脳腫瘍で死を宣告された男が200年後の世界に意識だけスリップ。そこは殺人ウイルスが蔓延し人々はタワーに閉じ込められた世界だった。
内容説明
悪性の脳腫瘍で死を宣告された男の意識が、突然200年後にタイムスリップする。そこは黄魔という死亡率87%のウイルスが猛威を振るう、外に出ることは死を意味する世界。人類は「塔」の中で完全な階級社会を形成して暮らしていた。その絶望的な世界に希望を見出すため、男は闘いを決意する!長編SFファンタジー。
著者等紹介
石田衣良[イシダイラ]
1960年、東京生まれ。成蹊大学経済学部卒業。広告制作会社を経てフリーランスのコピーライターに。97年、「池袋ウエストゲートパーク」で第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞。生き生きとした語り口と現在を映しだすエッジの鋭さが高い評価を受けた。受賞作に続篇3篇を加えた『池袋ウエストゲートパーク』(文春文庫)でデビュー。03年、『4TEEN』(新潮文庫)で第129回直木賞を受賞。06年、『眠れぬ真珠』(新潮文庫)で第13回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りゅう☆
93
脳腫瘍で余命数ヶ月の周司は、突然200年後にタイムスリップした。そこでは黄魔という死亡率の高いウィルスが猛威を振るい、人々は階級社会で塔の中で暮らしていた。高さから自由であるべきか、第一層だけが住空間を占領するのか。ウィルス、テロリスト。危険に晒されるも、こちらの世界で自分には何かの役割がある。限られた時間と条件で周司ができることとは?中国発祥、世界を一変させたパンデミック。まさに今のコロナと被る。9.11の衝撃から生まれたこのSF小説。10年後にこんな世の中になってるなんて思いもよらなかったでしょうね。2021/08/13
優希
85
SFを読み慣れていないせいか、ストーリーや設定に正直あまり馴染めない感はありました。悪性の脳腫瘍を患ったことで200年後にタイムスリップする周司。黄魔という高死亡率のウィルスが蔓延しているために「塔」の中で階級を作り生活する人々。絶望の社会に希望を与える為に戦う周司は誰よりも命を重く思っていたのかもしれません。現実と現実を超えたところで物語は展開していきますが、9.11という意味を含んでいたのですね。今まで読んできた世界とはまた違った世界でした。2016/03/22
ぶんこ
60
著者初のSF作品で、9.11に影響されて書かれたそうです。余命僅かの脳腫瘍患者の周司が、激しい頭痛に襲われ200年後に精神のみがタイムスリップ。 悪性インフルエンザ「黄魔」によって人類滅亡の危機を、救うために立ち向かう周司。 「全力で誰かのために働くことが、実は自分自身を救うことなんだ」と気付いた時、周司の脳腫瘍は小さくなっていました。 余命僅かと言われていたからこそ闘えたのか。 生きるということを考えさせられました。 2016/02/10
ちばと~る
21
石田衣良先生の長編SF。脳腫瘍で余命幾許も無い周司は激しい頭痛で意識を失う。が、目覚めた先は23世紀。致死率9割の殺人ウイルス『黄魔』の蔓延る世界。一部の特権階級だけが住むブルータワーの最上階の住人シュウの身体に乗り移った周司の意識。地の民の伝説 嘘つき王子の正体とは~オシャレな現代恋愛モノと思わせといてなかなかハードなSFで読み応えあり!!未来の世界にわ日本人しかいないのか~?宇宙戦艦ヤマトみたいだw利奈ちゃんのステキな暗記法。コレならオレも東大合格できたかも~2012/05/21
S.F.River
16
もっと違う方法で情報を未来に運ぶのだと思っていたが記憶頼りというのが想像を超えていた。 命が非常に軽い荒廃した未来、もし、あの新型コロナが致命的に毒性が強いものだったらどうなっていたんだろうなと想像してしまった。 3.02023/12/10