文春文庫<br> 旅行鞄のなか

文春文庫
旅行鞄のなか

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 237p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784167169244
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

数々の名作をものしてきた作者が、自作の小説の舞台を訪ねた旅をはじめ、肉親や友人たちとのほのぼのとした旅の思い出を軽妙に語る本

内容説明

吉村氏には、追われて逃げまわる人物を主人公にしたものが多い。「逃げるという行為に強い関心をいだく潜在意識が私の内部にあるのかもしれない」と述懐される。氏は綿密な取材ぶりで知られるが逃亡者を追跡し、事実を探求するそれらの旅で、出会った人びとの思い出や変わった出来事、食物や酒のことなど滋味豊かな話を満載。

目次

小説と旅(人間という動物;鯨と鎖国;能登の女たち;桜;文豪の書簡;読書への回顧;電話で取材 ほか)
旅さまざま(宇和島への旅;静養旅行;私と鉄道;麦茶と色紙 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

497
取材になにより重きを置かれていた吉村さんの旅エッセイ。取材にまつわる旅だったり、過去の作品にまつわる旅だったり。なにより人に気を遣い、出逢いを大切にする彼の性格がうかがえる。奥様の津村節子さんとは学習院の文芸部仲間だったとか。元祖・小説家ご夫婦というところか。今作で紹介されている未読作品も、片っ端から読破していく所存。2022/05/22

♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤

57
積読本の消化。本書は、小説のもとになる資料を蒐集したり、素材に関連のある方に会ったりするために旅にでて、そこで出会った人々や思い出、食べ物、お酒などを綴ったエッセイ集。小説の舞台となった場所を自分の目で見て、ゆかりのある方々に話を聞くような緻密な取材力に定評があるのがよくわかる。世界初の心臓移植をおこなった南アフリカに取材旅行した際に医療の面でも人種差別の激しさに驚いた話が印象的。その心臓移植の話である『神々の沈黙』は、ぜひ読んでみたい。小説の成り立ちを覗かせてもらっているような楽しい1冊。 2022/07/02

mondo

42
私は吉村昭の歴史小説が好きで読み続けできているが、その取材のために行った旅行のエッセイや吉村昭のこだわり(流儀)といった昭和感たっぷりの書き物も好きで好んで読んでいる。特に「わたしの流儀」や「味を追う旅」などは気に入っていて、今も時々読み返している。今回読んだ「旅行鞄のなか」もその一つに加えられる作品だ。「旅行」といえば、小説のための取材の旅が多いわけだが、仕事を終え、夜になって街に繰り出し、その土地の酒と味、人情に触れるところが気に入っている由縁。そして、短いエッセイなので、通勤の合間にちょうど良い。2023/05/31

金吾

17
○吉村さんのエッセイは暖かい人柄と生きる喜びを感じます。旅先での酒を飲みながらの地元の食べ物を食べる描写は食通ではないと言いながらも、読むだけで食べたくなります。小説の背景等も書かれていて、読んだことのある本でも改めて読みたくなりました。2020/09/07

ジャズクラ本

15
◎小説は二作品を読んだだけだが、吉村昭のエッセイとあっては是非とも読んでみたくなって手に取った。小説にみられる脚色を廃して淡々と物語る文体がエッセイにも滲み出ている。誠実と質朴と人情をこよなく愛し、多少生真面目。そんな人となりが浮かび上がる。70年中盤~80年代後半に文芸誌に掲載されたものが中心。青函連絡船の郷愁と共に、当時の南ア アパルトヘイトの不条理に改めてやり場のない怒りを感じる。バブル前夜の空気が懐かしかった。/吉村の最も影響を受けた作家_梶井基次郎「檸檬」「闇の絵巻」。2020/02/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/237954
  • ご注意事項

最近チェックした商品