文春文庫
帰艦セズ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 249p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784167169213
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

昭和十九年、北海道小樽市郊外の山の中で海軍機関兵が餓死した。彼はなぜそのような最期をとげねばならなかったのか。会心の六篇

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

38
反戦作家という区分がある。筆者の戦争の空気を描いている作品はどれも秀逸。感覚として「逃亡」の内容と重なる。声高に反戦と叫ぶのではなく、モノクロの文体で淡々と、しかし実直過ぎる程の主人公を描くことで、読者である私は胸がつぶれる思いでページをめくらされる。 主人公をめぐる人々はいずれもか弱く、中には影が薄い人もいる。対峙する「軍」はあまりに強く、聳え立ち、いかなる感情も跳ね飛ばすかのよう。こうやって戦闘要員でありつつも「市民感覚」は萎えさせられて行ったのだろうか。2018/08/21

31
短編集。淡々とした無駄のない文章が、かえって人々の苦悩や複雑な感情を際立たせる。「果物籠」が印象的だった。2019/08/04

mondo

25
帰艦セズの他、5編の短編が収められている。特に帰艦セズは、先頃読んだ逃亡の続編とも言える内容で、何度も読み返した。また、飛行機雲は、大本営が震えた日の続編とも言える内容である。関係者に対する想いの深さが読み取れる。2016/10/15

かおりんご

23
小説。ずっと読みたかった本。短編なので、隙間時間にサクッと読める。表題作の「帰艦セズ」は、読んでいて切なくなった。残された親や家族も、さぞ無念だったろう。たかが弁当箱、されど弁当箱。官品ゆえの悲劇だとしか言えないし、この考えは今の自衛隊にも通じるところがあるんじゃないかな。「果物籠」は、自分ごとのように感じてしまった。私はいいことをしているつもりでも、相手の受け取り方は違うかもしれないわけで。吉村作品を全部読みたいと、強く思った。2019/03/21

けぴ

23
犯罪者の出所に利用され悔しい『鋏』 相続のため生かされ続ける男の『白足袋』業の深い短編集でした。2018/03/16

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