内容説明
一日中稽古事に追われている大店和泉屋の娘にとって、湯屋での長居が息抜きだったが、土用の桃の湯でにぎわう大黒湯で、同心が刺殺される。八丁堀七不思議の一つ、“女湯の刀掛”が生んだ悲劇を描く表題作ほか、「ひゆたらり」「びいどろ正月」など全八篇。大川端の御宿『かわせみ』の面々による、大好評江戸人情捕物帳シリーズ。
著者等紹介
平岩弓枝[ヒライワユミエ]
昭和7(1932)年、代々木八幡神社の一人娘として生れる。30年日本女子大国文科卒業後、小説家を志し戸川幸夫に師事。ついで長谷川伸主宰の新鷹会へ入会。34年7月「鏨師」で第41回直木賞を受賞。平成3年「花影の花」で第25回吉川英治文学賞受賞。平成10年、第46回菊池寛賞を受賞。平成16年、文化功労者。テレビドラマ、芝居の脚本も数多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ALATA
50
正月は牡蠣の土手鍋で一杯、二月には日本橋十軒店町で雛人形市が立つ。土用の暑気払いは桃の葉を湯に入れ、季節の移ろいを感じられる・・・冒頭の話しがいつも面白い。今作も「ひゆたらり」「びいどろ正月」と江戸情緒が感じられじっくり読ませていただいた。表題作、女湯の刀掛けという言葉の初めて知った。そこから始まる騒動とその結末が悲しい★5※毎度お馴染みのるいの焼きもちに東吾は眉を寄せ、お吉と嘉助が早々に退散する場面は何度も読んでもニヤニヤするばかり😁2025/01/02
さら
38
東吾とるいは幸せそうで何より(笑)。事件は大なり小なり起きていますが、表題作『八丁堀の湯屋』が哀れでした。2017/01/27
真理そら
22
表題作は後味が悪い話だった。湯屋で死んだ松田庄三郎という役人がどんな人だったのかが説明されていないので、なんだか釈然としない気分で読み終えた。2019/01/09
ビグ
20
表題作の八丁堀の湯屋が印象的。昔の銭湯は男湯と女湯の間仕切りが板1枚で湯の中は通り抜けができたらしい。それよりも前は混浴が当たり前だったようだ。その時代の人々はどう思ってお風呂に入っていたのだろうかとしばし考えてしまった。それにしても、かわせみの面々は結束が固くとてもよい関係だ。他人のために精一杯頑張る姿は見習いたいと思う。2025/03/06
bookshelf_yt07
9
【あらすじ】るいと祝言を上げ、講武所の教授方と軍艦訓練所勤務となった東吾だが、かつて師範代をしていた狸穴の方月館から岡っ引きの仙五郎がやってくる。かちての冷飯食いの次男時代と変わらず、幼馴染みの同心・畝源三郎と捕物をする。【感想】結婚をしても、東吾は幼馴染みの同心・源さんと捕物をすることは変わらない。まあ、るいとの関係を公に出来なかった前とは違い、堂々としているが。今巻で驚くのは表題作。この事件の衝動性にとにかく驚く。2021/11/17