内容説明
伝蔵こと、稀代の人気戯作者・山東京伝が、風来山人・平賀源内、安兵衛、蘭陽らの仲間とともに、奇怪な事件に挑む。源内秘蔵の天狗髑髏にまつわる奇談、生きては帰れぬ地獄宿、恋女房に取り憑いた悪霊、そして背後に見え隠れする権力者の陰謀―。多彩なキャラクターが縦横無尽に活躍する、痛快時代ミステリー。
著者等紹介
高橋克彦[タカハシカツヒコ]
昭和22(1947)年、岩手県盛岡市に生まれる。早稲田大学商学部卒業後、美術館勤務を経て、58年『写楽殺人事件』で第29回江戸川乱歩賞を受賞。その後、61年『総門谷』で第7回吉川英治文学新人賞、62年『北斎殺人事件』で第40回日本推理作家協会賞、平成4年『緋い記憶』で第106回直木賞、12年『火怨』で第34回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
56
「だましゑ歌麿」シリーズのスピンオフだったのですね!そして、特筆すべきはあの有名な平賀源内の登場、それも準主役だということです。怪異帖という題名どおり幽霊騒動や怪奇現象にいどむ内容ですが、どの短編も読み応えがあり、特にシリーズを読んでいる人には蘭陽もバッチリ出てきていて堪らない作品だと思います。怪奇現象も暴いてみれば、人間の作り出した物であるというオチでホッと胸をなでおろすはずが、中には本物の幽霊だったというお話も混ざっていてゾクッとしました。2012/10/09
venturingbeyond
31
「だましゑ」シリーズのスピンオフ。本作の主人公(狂言まわし?)は、天明・寛政期を代表する戯作者・山東京伝(伝蔵)。獄死を偽装した平賀源内とともに、タイトル通りの「怪異」に首を突っ込む連作集。名も無い駆け出し時代から、押しも押されぬベストセラー作家としての名声を確立した後までの、伝蔵の成長・成熟のストーリーを背景に、ミステリーと(ライトな)ホラーが展開される。シリーズの他の作品同様、良質のエンターテイメントとなっています。2023/09/04
sin
29
再読です。何年前?いや単行本で読んだから20年前か、初読の際は「悪魂」の幽霊の描写にひどくぞっとした。江戸という時代背景が幽霊を自然に物語にとけ込ませていて読んでいて無理がなかった。今回もぞっとする部分はあったが、それぞれのキャラクターに引きつけられてこわさは二の次であったような感じがする。そういえば前回も、ここで終わるのは何か中途半端な感が在ってもっとこの物語の続きが読みたいと思ったことを思い出した。2013/08/30
冬見
17
主人公は稀代の戯作者山東京伝。源内秘蔵の天狗髑髏、生きては帰れぬ地獄宿、偽物幽霊屋敷に現れる意次の生霊、恋女房に取り憑いた悪霊、神隠しを予言する流れ者の修行僧……獄中死した風来山人こと平賀源内と共に、京伝は奇怪な事件に挑む。◆最初から最後までずっと楽しい。なにせ主人公はあの京伝。それに加えて彼を取り巻く登場人物は源内、窪俊満、蔦重、大鶴屋と錚々たる顔ぶれ。謎を散りばめたミステリ風味だが、全てをミステリ処理するわけではなく、生霊やら悪霊やら、奇は奇のままに、怪は怪のままに存在する。そのバランスがとても良い。2019/06/03
icchiy
16
初、高橋克彦さん作品でした。面白かったぁ~ 。京極氏の「巷説百物語」よりえぐくなく、宮部さんの江戸ものより人情感は抑え目ですが、いい塩梅に江戸の不思議と風俗、そして人情もきちんと書き込まれていて素晴らしい。なんと言っても主人公、源内、伝蔵、そして蘭陽、安兵衛のやり取りが楽しい。絵師や戯作者やそういう視点がまたいいです^^2016/02/10