文春文庫<br> 望郷

文春文庫
望郷

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  • サイズ 文庫判/ページ数 414p
  • 商品コード 9784167161019
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

夕景の中に怱然とあらわれた札幌の企業家の寂しい後姿にひかれて結ばれる左千子、年代の違う夫の心の中に潜む遥かな愛の姿に傷つく、若い妻の愛と空虚の日々……

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あ げ こ

2
その若さと幼さに覚えた憧憬と戸惑いから、年若い妻を、まるでからかうかのように愛おしみ、可愛がり続ける夫。可愛がるだけで、決して本心を明かすことのない夫に募る、寂しさと不満。愛に飢えた妻はいつしか、夫の心、そのすべてを掴みたいと願うようになる。夫の余裕と躊躇を奪い、自らへの激情を引き出したいが為に彼女が犯した愚行の痛ましさ。その愚かしさに苛立ちを覚えるも、彼女の不器用なひたむきさからは、決して目を離すことが出来ない。ようやく手にした夫の本心。激しい愛情を享受し、彼女の感じた甘やかな幸福が、温かい安堵を残す。2014/02/23

moka

0
舞台は北海道。企業家の東吾と結婚した佐千子。年齢差故の愛情表現の違い。愛するというよりも可愛がる。気づけば夫の全てを知りたい幼妻。夫の気持ちが分からなくなり、道を踏み外しかけてやっと、夫の激しい愛を感じる。纏めてしまえば、よくある話。佐千子の淡々とした日々の生活と、北海道の壮大な景色と合わせて描かれると、するすると読んでしまう。幼い妻の我がままで不器用な行動は、大きく年の離れた夫の余裕をなくして本心を明かす。2015/09/22

y_e_d

0
原田作品によくあるタイプの、美貌で、傷つきやすく、感情の波の大きい主人公。夫の愛情の大きさに気付けない年齢差。交通事故を起こしかけた青年を巻き込んで幼い行動に出るが、気持ちは分からないではない。いずれ、分かる時が来るだろうと思えた。作者の文体は翳りと冷たさを感じさせるが、これがとても心地よい。2018/06/08

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