内容説明
数多くの姉の写真が埋もれていた。そのほとんどは青春時代の写真だった。じっくり見ていくうちに、その奥にあるものが見えてきた―。仕事、生き方、おしゃれ、そして今もなお、人々の胸に熱く残る珠玉の作品群…21年前の夏、飛行機事故で逝った向田邦子の全魅力を、妹の言葉と百余点の秘蔵写真で振り返る。巻末に年譜収録。
目次
姉という人
生き方
おしゃれ
姉の仕事
姉に教わったこと
著者等紹介
向田和子[ムコウダカズコ]
昭和13年、東京生まれ。長姉は作家の故・向田邦子。実践女子短大家政科を卒業後、保険会社などに勤務。その後、喫茶店経営を経て赤坂に小料理屋「ままや」を開店、20年間、経営を続けた
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
50
かえすがえすも惜しい人が早逝したのだと痛感。晩年の作品も読んでみたかった。弟妹の世話をよくみていたようで、女学校の家庭科で習っただけでコートも作ってしまう器用さ、センスの良さ。そして要領の良さ。悪口を言わないところ等々、人に好かれる要素をたくさん持たれていたのが伝わってきました。仕事関係の海水浴や上司の自宅にも妹さんを連れていくところなど、職場でも愛されていた邦子姉だったのでしょう。たくさんの写真から目が離せないほど魅力たっぷりな邦子さんでした。2020/07/02
つちのこ
44
姉に対する思慕や、手放しでベタ褒めする姿勢は度を越しているように思えるが、それだけ強い絆で結ばれていたのだろう。その思いは十分に伝わった。邦子の実像を知らない読者の私たちには、主観の域を出ない文章を丸呑みしてしまうと、非の打ちどころのない完全無欠な邦子の像が独り歩きする危惧をはらむ。ドラマチックな死と重ねて、神格化された存在になっていきはしないか。これは偏見だろうか。とはいえ、邦子の若かりし頃の写真一枚一枚には、人生を思いっきり楽しむ姿が煌く。亡くなる51才で70才分の凝縮された人生というのもうなづけた。2024/12/19
kinkin
43
向田邦子の妹、向田和子が姉の素顔、人物像や生き方、仕事について多くの写真をまじえて綴っている。向田邦子の写真はどれも美しい。そして本の最後には和子がこう書いている「姉が亡くなったのは五十一歳だがその中身は七十歳くらいの人生だったのではないか、それぐらいの人生が凝縮されていたと思う」と。 もし彼女が存命していたら今の世の中をどのように感じて どんな小説やエッセイになっていたことだろう。2014/04/23
ちくわん
21
1999年4月に発行された単行本の文庫化。一番下の妹による。ドラマは観ていた。1981年8月の航空機事故も覚えている。ご本人の若い頃の写真は拝見した。物凄い衝撃を受ける。2023/04/19
Galilei
19
邦子より10日早く生まれた母のアルバムを見てるようで、同じ流行のファッション。斬新なショートヘアーはオードリーの影響かも?当時のファッション巧者は、洋裁の腕前と海外デザイナー情報が大きな決め手。東京で映画の仕事といえば、現在のパリコレを毎日見てるようなもの。ディオール、ジパンシィー、シャネル、サンローラン、映画のエンドロールには売り出し中のデザイナーが目白押し。母などは及びもしませんが、それでも映画館から心斎橋の洋装店でオートクチュールを観察、その足で船場へ生地を探しに。それが最新の昭和30年代でした。