出版社内容情報
リンガエン湾に上陸する米軍の新様式に対して、日本軍は旧態依然の玉砕戦法で、次々と壊滅していった。比戦最後の様相を描く労作
内容説明
比戦線の最後の主戦場は、マニラ―バギオ間を結ぶベンケット道と重畳たる山岳地帯だった。攻め寄せる近代装備の米軍に対して、日本軍守備部隊には斬り込み命令が繰り返される。飢えと病と敵弾と高級指揮官の無能の四重苦のうちに、兵士たちは倒れていく。悲劇の核心を衝き、戦争悪を追及する著者執念の戦場ドキュメント。
目次
第6章 川霧の中から
第7章 狂乱と正気
第8章 ベンゲット道脱出
第9章 死んだ兵隊はどうなるのか
第10章 最後のベンゲット移民
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
11
◆単行本「ルソン戦記」85年刊、文庫版(本書)は加筆修正・分冊して89年刊。82年文藝春秋社の創立60周年記念事業で計画された書き下ろしNFとして高木が選んだテーマ。「ベンゲット道」は北部ルソン島の険しい山岳道路で、明治時代に日本から労働者移民が建設に入り苦労した場所である(現地では工事責任者の米人名から「ケノン道」と呼称)。そして太平洋戦争末期、リンガエン湾からの米軍進撃、要衝バギオ市防衛のため、幾多の将兵が斃れたところである。さらにその前後には多くの比市民、日本人在留者も戦争の犠牲となった。2022/07/26
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