文春文庫<br> ドロレス・クレイボーン

文春文庫
ドロレス・クレイボーン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 357p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167148171
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

ドロレスはその女を殺したのか?追憶と幻覚が混沌をなす供述の中から立ち現れる驚愕の真実。ホラーの帝王、異色の心理ミステリ

内容説明

そう、たしかにあたしは亭主を殺したさ…30年前に夫を殺したと噂される老女ドロレスに、再び殺人の容疑が。彼女の口から明かされる二つの死の真相―皆既日食の悪夢のような風景のなかに甦る忌まわしい秘密。罪が生み出す魂の闇。キングの緻密な筆がアメリカの女性の悲劇を余すところなく描き出す、慟哭の心理ミステリー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

303
最後のわずか数ページを除いて、ほぼ全編が司法当局者を前にしてのドロレスの語りから構成されている。語られる内容は多岐にわたるものの、主として遠過去と近過去に起こった2つの死についてである。死の相通性が、過去をも回想させることになったのだ。その遠過去の死を劇的に彩るのが1963年7月20日にメイン州を縦断していった皆既日食である。語りの中では、もっともドラマティックなくだりだろう。ただ、すべてはドロレスの語りであるために、読者は真相を想像してみるしかない。そうした意味では新しいタイプのミステリーだろうか。2015/11/26

散文の詞

165
読み始めて、猛烈な違和感に襲われます。 主人公のドロレスの語りで始まるのですが、なんとそれが最後まで続くのです。 全編が語りのみなんです。 翻訳にも相当苦労したみたいですが、イメージが湧かない部分も多いです。 まあ、結局は、ドロレスが殺人をしたのか、してないのかです。 全編哀しさだけが漂う印象でした。 2022/06/21

Tetchy

159
章立てもなく、ひたすらドロレス・クレイボーンという女性の一人語りで展開する。通常こういう一人称叙述の一人語りは短編もしくは中編でやるべき趣向だが、なんとキングはこれを340ページ強の長編でやり遂げる。そして終始語られるのはドロレス・クレイボーンという女性が犯した殺人の告白であり、彼女の半生記でもあり、またセント・ジョージ家の家族史である。ふてぶてしく振舞うこの女性の人生は壮絶だ。現代の問題でもある介護の問題ー作者は下の世話の戦いだけで20ページも費やすー、家庭内暴力とまさに今読まれるべき物語だった。2021/06/06

harass

89
ガーディアン紙の1000冊と聞き手に取る。66才のヒロインが語る供述のスタイル。彼女は長年お手伝いを続けてきた富豪の老女が亡くなったことに疑いを持たれていた。彼女は、その出来事と数十年前に彼女の夫が事故死したことの真相を語っていく。相変わらずのキングのページターナーぶりに驚く。ストーリー作りのうまさに感心しつつ、あけすけで饒舌な語りを楽しめた。題名のセンスに巧さを感じる。久しぶりのキング作品で、やはりとんでもねえ才能だと改めて実感。非ホラーもので読書の醍醐味を味わえる一冊。お勧め。197つ目。2018/09/21

扉のこちら側

89
初読。2015年994冊め。【40/G1000】【第3回G1000必読チャレンジ/第8回月曜から読書会】富豪老女の殺人容疑をかけられている女性の独白というスタイルで全編が進む。二人の女性、ともに母親である彼女たちの奇妙な絆。皆既日食の空の下で隠された罪。ドロレスの口は悪いけれど、美しい表紙の印象そのままの少し物悲しさが漂う一冊だった。2015/08/17

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