出版社内容情報
別名で暴力小説を書いてはいても「本の中以外では誰も殺したことはない」といいきるサド。殺人現場の指紋が自分のものと一致した!
内容説明
売れない純文学作家サド・ボーモントには、世間に知られていないもう一つの顔があった。血なまぐさい犯罪小説を書く、ジョージ・スタークなるベストセラー作家の顔が。本来の自分の仕事に専念したくなったサドはある日、すべてを公表し、ペンネームを葬り去ることにする。それがどんな悪夢の幕開けになるかも知らずに…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
129
粗筋を読んだ時、なんということを考えつくのだろうと、その奇抜さと着想の斬新さに驚いてしまった。キング版『ジキル博士とハイド氏』とも云える1人の人物から生まれた2つの人格の物語はしかし本家における二重人格とは異なる、全く新しい趣向で語られる。スティーヴン・キングとリチャード・バックマンという2つの筆名を持っていた作者のことを考えると本書はある意味メタフィクションと云っていいだろう。どうしても書きたい衝動に駆られた小説家の業。それは多分キング自身がバックマンを葬ったことへの後悔を表しているのかもしれない。2020/01/26
Small World
28
キングのキャッスルロックものを読んでます。怖いというよりも表現がえぐい!w 邪悪な半身との戦いですが、現在のところ守勢の主人公です。相変わらず読み始めるとページをめくる手が止まりません、キング作品は日曜日に読み始めるには向いていないのかもしれません!!w2016/11/06
ぎん
22
月イチキング。 ついにキャッスル・ロックの愛すべき保安官アラン・パングボーン登場。主人公はサド・ボーモントとその闇の分身ジョージ・スタークなんだけど、この二人よりもパングボーンのほうが魅力的に見えてしまうのはこの後の彼の活躍を知っているからか? ペンネームが実体化して襲ってくるという発想はリチャード・バックマンというペンネームを使っていたキングならではのものだが、スタークの暴走気味の暴れ具合が読みどころかな?2017/02/03
うーちゃん
21
売れっ子バイオレンス小説家が、「やっぱりもともと書きたかった純文学一本でいこう」とペンネームを葬ったら(おふざけで埋葬までやる)、「死んでたまるか~」とペンネームが実体化して大暴れ。"別人のように描かれていたけど、同一人物でした"というどんでん返しの作品は数多いが、この作品では本当に別個体として"もうひとりの自分"が存在してしまうというのが面白い。2020/02/27
たらお
19
【デッド・ゾーン】【ペット・セマタリー】【11/22/63】が自分の中での鉄板。この本、学生の頃に読み、印象悪くなかったと思い読み返す。が、初めて読む感半端ない。文学賞作家である主人公が本業とは別にペンネームでサイコ的な犯罪小説を書き、そっちの方が売れる。でも、文学で勝負しようとペンネームであるソレの墓碑を建て、雑誌に掲載する。しかし墓碑の下からソレは蘇り、関係者を殺しまくる。現実的にあり得ないことをソレっぽく読ませてしまう勢いはあるけど、いい歳になるとお腹いっぱいかな。でも、結末気になるので下巻も読む。2021/05/09




