内容説明
「少々耳の痛いことも言ひますが―」。昭和の名宰相論、乃木大将と名誉、近ごろの日本語論から香港返還と中華料理の味の話まで。時に歯に衣きせず、時にホロリと、そして常にユーモアを傍らに、今の日本に物申す。月刊「文芸春秋」の巻頭に連載され、深い見識と類まれな名文で愛読され続ける阿川さんの名エッセイ集。
目次
米内さんの書
古橋語る
香港点描
宰相私論
続・宰相私論
続々・宰相私論
サンセット大通り
土下座考
鯨の論理
非難場所・陸軍仕官学校〔ほか〕
著者等紹介
阿川弘之[アガワヒロユキ]
大正9年(1920)広島生まれ。昭和17年、東京帝国大学国文科を繰り上げ卒業、海軍に入り中国で終戦。戦後、志賀直哉に師事し小説を発表し始める。著作には、『春の城』(読売文学賞)など数多くがある。芸術院会員
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感想・レビュー
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KAZOO
9
文藝春秋の巻頭言を飾る随筆集です。若いころは阿川先生はどちらかというと比較的保守的な人という自分の感覚でしたが、最近は私が年寄りになったせいか先生の言説にもっともという感じがしています。連載も終わられたということで最初のころからのを文庫で読みなおしています。2013/12/22
アメヲトコ
2
文藝春秋誌の巻頭随筆をまとめたもの。阿川節全開で、文章も滑らかで読みやすいです。ところどころ筆が滑りすぎなものもありますが、「大朝日」新聞様への皮肉には思わずニヤリ。2015/02/17
アキヤマ
1
内容は、古いけど今時分でもなるほどなぁ、なんて思わせる考察がある。歴史的仮名遣いだけど、大して気にならない。2013/10/02
勝浩1958
1
『続・宰相私論』の章で語られている吉田茂首相の言動は、実に素晴らしく爽やかである。また『石原都知事に一筆啓上』の章のギリシャの歴史家ポリュビオスの言葉「物事を宙ぶらりんでどつちにも決まらない状態のまま延々とつづくこと、これが人間の魂を一番参らせる。その状態がどちらかへ決した時、人は非常な気持ちよさを味はふ。ただし、それが国の指導者に伝染したら、その気持ちよさは国の滅亡をもたらす。」には、むべなるかな。2012/03/13
しなじい
0
阿川弘之のエッセー。ユーモアと機転のあふれる文章で様々な話題について語る。洗練された日本語のリズムが感じられるので、旧仮名づかいでもスルスル読める。2014/01/25