内容説明
師匠の遺した剣の秘伝書を、三人の弟子が追う「秘伝」。自分より強い男の妻になりたいと望む女武芸者のもだえが切ない「妙音記」。清廉潔白で慎み深いあまり、変わり者と呼ばれる「弓の源八」。武芸にかけては神技の持ち主でありながら、世に出ることなく生涯を送った武芸者八人の姿をユーモラスに描く円熟の短篇集。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
大正12(1923)年、東京に生れる。昭和30年、東京都職員を退職し、作家生活に入る。新国劇の舞台で多くの劇曲を発表し、35年、第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。52年、第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。63年、第36回菊池寛賞受賞。作品に「剣客商売」「その男」「真田太平記」“必殺仕掛人”シリーズなど多数。平成2年5月3日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
102
面白かったです。江戸時代を駆け抜けた剣客たちの生き様が格好良い。神業を持ちながら歴史の表舞台に立つことのなかった剣客たちをユーモアのある筆で描いているのに惹かれました。闘いの場面はないものの、生き生きと描かれた剣客たちからは「人間」が見えました。生き方を凝縮したような雰囲気がまた味わい深いと思います。2016/03/23
ポチ
59
昭和44年に刊行された、剣客の8話の短編。50年前なのに全く色褪せず、新鮮さも感じながら物語りに引き込まれた。池波先生、さすがです。2019/10/22
ぶんぶん
23
【図書館】本を返却しに行って、それだけだとつまらないので借りて来た。 何気なく借りたが、流石は「池波正太郎」短編ながら、各編読み応えがある。 佐々木留伊の話が面白い、剣を取っては無双なのに「おなら」で負けてしまう。 この時代ならではの事で、ちなみにこの人物は実在するとの事。 後に、佐々木三冬が「剣客商売」に登場する。 後「ごろんぼ佐之助」が爽やかで良い。 この人物も実在で新選組の副長助勤である。 死ぬまで「御落胤」と信じていたとあるが、そこも微笑ましい。 「忍者群像」「仇討群像」も借りて来よう。2021/10/03
びぃごろ
15
剣客8人の短編集。凄腕に見えない人の話がやはり面白い。優等生的な藤沢周平と剽軽さをもつ池波正太郎というカラーが私の中に見えてきた。幕末の二作品「ごめんよ」「ごろんぼ左之助」が特によかった。2019/11/17
りこ
15
あとがきにもあったけど、妙音記の留伊がなんとなく三冬を思わせます。個人的には弓の源八と秘伝が好きです。2015/04/07