内容説明
於蝶とともに信長の本陣を襲ったあの夜、半四郎は織田軍の中を必死に逃げのびた。五年余、かつて自分を弟のように扱ってくれた鳥居強右衛門にめぐりあい、織田・徳川の前衛として孤立した長篠城に立て篭る。信長を討つことに執念を燃やす於蝶はどこかで生きているのだろうか。於蝶の悲願も空しく、天正六年、安土城は完成した。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
大正12(1923)年、東京に生れる。昭和30年、東京都職員を退職し、作家生活に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、35年、第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。52年、第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。63年、第36回菊池寛賞受賞。作品に「剣客商売」「その男」「真田太平記」“必殺仕掛人”シリーズなど多数。平成2年5月3日没
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感想・レビュー
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とん大西
114
本日の大河の主役は鳥居強右衛門。こちら忍びの第2巻もスポットライトは強右衛門の大激走に。変転する天下の行方。信玄なき今、信長やや優勢か。小谷落城以来、流浪の半四郎が身を寄せたのは旧友・強右衛門が立て籠る長篠城。勿論、忍者という正体を隠して。折を見て旧主・武田に通じるつもりだったが、忍びといってもそこは人情。数百人の籠城に対し万超えの武田の大軍。圧倒的不利の中でも凛として将を励ます奥平信昌。不屈の若殿を支える純朴な強右衛門。彼らの心意気に惚れた半四郎が強右衛門の激走を巧妙にアシストする。走れ、家康のもとへ。2023/06/03
ぶんぶん
24
【図書館】あまり、半四郎と於蝶は活躍しない、鳥居強右衛門の脱出、援軍の話が良い。 長篠の戦い、安土城の建設、ますます面白くなるが、どうも歴史物は身が入らない。 於蝶と半四郎の話と思っているので、入口から間違っているのだが・・・後、一巻読み終えて仕舞おうと思います。2022/08/24
あまね
16
人の心の機微と人情を描かせたら天下一品の池波先生の本領が遺憾無く発揮されている二巻でした。一巻から好印象だった鳥居強右衛門の男気が胸熱です。武田の騎馬隊VS織田の鉄炮隊等々、盛り上がる展開に忍びの活躍を盛り込みドラマティックな展開でした。時代は動いていますが、相変わらず半四郎はお蝶さんの手の上で転がされています。2021/05/20
あいくん
14
☆☆☆長篠の戦いは、武田勝頼の軍を織田信長の鉄砲隊が打ち破った戦いとして有名です。長篠の戦いから武田家の衰亡、上杉謙信の死が描かれます。信長は三万人の軍勢と三千の鉄砲で武田軍を打ち破ります。三千の鉄砲を集めるのにはかなりの資金が必要です。この時期には鉄砲は重要な存在になっていました。鉄砲を利用した作戦計画が成功して武田軍は打撃を受けます。キリスト教に対して信長は寛容でした。 信長は信仰していたわけではありません。信長が本能寺の変に倒れなかったら、キリスト教はもっと浸透していた可能性もあると見られます。2020/07/13
Book Lover Mr.Garakuta
11
池波流、戦国時代の興奮がよみがえる。自分が思う読み処:老鶯の章の215頁の12行目から228頁7行目である。このあたりの弱者を助ける強右衛門の正義感が素晴らしい。2019/04/07