内容説明
盗賊にも守るべきモラルがある。盗まれて難儀をするものに手を出さぬこと、人を殺傷せぬこと、女を手ごめにせぬこと。この三カ条を守らない盗賊を畜生盗めという。さて、本巻の「一本眉」では掟を守りぬく真の盗賊が畜生盗めの一味を成敗する痛快譚。他に「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
139
前巻の最後で、鬼平が夫婦そろって熱海に骨休めに行きますがその熱海での事件から始まり、これまた「一本眉」という、特徴のある顔の盗賊が出てくる話で終わっています。盗賊というはなしながら、時たまほんわかする話もあったりして飽きが来ません。また部下の木村の役割も緊張感をほぐしてくれるのでしょう。2017/06/03
ポチ
78
「一本眉」で盗賊達が敵討ちに乗り込んで行った時は必殺仕事人の音楽が聞こえて来ました。この盗賊の頭とそれとは知らずに仲良しになった忠吾はやっぱり憎めないキャラですね(^^)2017/05/08
s-kozy
55
シリーズ13巻目、折り返し地点を過ぎてしまったのかな。本巻では密偵達ではなく、同心や目付達が活躍する話が多かった。どれも面白いが、最も印象に残ったのが、「殺しの波紋」。うっかり犯してしまった悪事を隠蔽するために悪事に悪事を重ねてしまう遣る瀬無い話だった。「人というものは、はじめから悪の道を知っているわけではない。何かの拍子で、小さな悪事を起こしてしまい、それを世間の目に触れさせねため、また、次の悪事をする。そして、これを隠そうとして、さらに大きな悪の道に踏み込んで行くものなのだ。」2014/09/14
佐島楓
50
あまり本作の短篇には強く感銘を受けるものはなかった。残念。次巻も読みます。2015/10/21
aponchan
39
あっと言う間に読了。鬼平の疲労感が熱海の温泉でも癒えず、心配。盗賊がいなくなっては物語が続かないが、なかなか畜生働きの盗賊による被害がなくならない。2019/07/16