出版社内容情報
一九五〇年、この半島を揺るがした熾烈な戦い。米・中・ソの暗闘と思惑による分断。南北問題というこれまで世界が経験しなかった新な戦争の全貌を最構成する力作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wei xian tiang
10
我が国の敗戦までとはまた違った要素を含む,失敗学の貴重な教材の宝庫。侵攻前の前兆情報の軽視,戦闘なく流言で潰走した水原守備隊。自軍の将兵を前線に置き去りにしての漢江橋梁破壊,それも橋上の避難民もろとも爆破するとは,これを蛮行と言わずしてなんであろうか。 地理的には満州・沿海州出身者が主体である北朝鮮軍で,朝鮮語を話せない将兵も多く,征服王朝そのものであったという事実には衝撃を受けた。現在に至る馬賊団国家の本質である。2020/05/30
うぃっくす
9
児島さんはいい本書くよね。恥ずかしながら朝鮮戦争全く知らなかったので読ませていただいております。はじめ北朝鮮がかなり優位だったこともしらなかった。都市を奪われて奪還するのは大変だ…脱出した市民と残った市民の対立とかね…。2018/12/19
がんぞ
9
あとから見ると馬鹿げているが「口ばかりで来ない」と思っていた。大統領李承晩が「撃退した」と嘘で逃げ時間稼ぎに唖然。しかも「米軍が迎撃してくれないなら在韓米国人を全員殺す」と逆上し大暴言。初日に鉄道で首都から脱出し、大田では「戦う、前線に行く」と言う強がり醜態。戦争に誤算はつきものだが、金日成は潜入分子蜂起を待たず軍事制圧に集中すれば全土制圧できた。独立を煽った故の悲劇で、全土が「日本国」のままの方が幸福だっただろう。「戦争は内政が行き詰まったとき起こる」というのを棚ぼた的に独立を貰った亡命老獪両班に感じる2013/04/24
めっかち
4
韓国では「日帝35年」なんて言われるが、かの国の本当の惨劇は朝鮮戦争だったのであるまいか──通読してそんな感想。避難民を巻き込んでの鉄橋爆破、ゲリラと誤認しての市民殺害……良いとは言わんが、戦争ではこういう悲劇が起きてしまうんだよね。あと、日本に関連するところだと、小倉で起きた黒人米兵の暴動事件。この事件も占領下の黒い霧に覆われているが、けっこう詳しく書かれている。2へ。2025/08/26
丰
0
19840625