内容説明
一流会社勤務の夫の転勤に伴い、東京で憧れの社宅暮らしをスタートした音子。喜びも束の間、社宅内の人間関係に振り回されてゆく。一人息子・悟の教育問題、見栄と欺瞞に満ちた主婦同士の情報戦に追い詰められ、焦った音子は愚かな行動に出るが―痛烈な人間描写、現代のドラマが大迫力、傑作長編エンターテインメント。
著者等紹介
有吉佐和子[アリヨシサワコ]
昭和6(1931)年、和歌山生まれ。昭和31年に『地唄』で文壇デビュー。紀州を舞台にした『紀ノ川』『有田川』『日高川』三部作、世界初の全身麻酔手術を成功させた医者の嫁姑問題を描く『華岡青洲の妻』(女流文学賞)、老人介護問題に先鞭をつけ当時の流行語にもなった『恍惚の人』、公害問題を取り上げた『複合汚染』など意欲作を次々に発表し人気作家の地位を確固たるものにする。多彩かつ骨太、エンターテインメント性の高い傑作の数々を生み出した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スエ
129
「社宅」なんて怖いワード❢入ったが最後、人のペースを乱す女として名を馳せるスエは、すぐに村八分になる事間違い無しッ❢ そして夫は降格&左遷。南アフリカ辺りで単身赴任頑張って〜♡ ザーマス母達の熾烈なマウント争い。この台風に巻き込まれたら試合終了ですよ。はいッ(`・ω・)ゞ安西先生、スエは棄権します。まさにレディコミの世界!ちなみに最近読んだレディコミのタイトルは「他人を蹴落とす女」忙しいのにレディコミ読んでんのか〜い。夫の背広のポッケを探り、息子の部屋を探り。他の家に届くお中元チ〜ェック!!…お暇なのね。2022/09/20
じいじ
73
これ面白いです。70年むかしの自身の少年時代を思い出しながら読みました。紹介したいポイントが山ほどありましたが…。主人公の音子が、初めて出逢う一人息子のことで悩みます。それは昨日までは、まったく予想していなかった息子の〈性への目覚め〉です。息子の押し入れから異臭を放つ段ボールを発見します、中には使用済みの下着がギッシリ…。音子は夫の真剣に対応しないことへの不満も重なり、「入室禁止」の張り紙など、息子の反抗心に悩みます。ー今作は580頁の中に、母子・夫婦の問題点がいっぱいつまった有吉佐和子の力作です。2025/07/07
ぐうぐう
37
1970年に毎日新聞に連載された本作は、社宅を舞台にした小説の先駆けだったのかもしれない。社宅という空間がこんなにもドラマに溢れているのかという、有吉佐和子の発見への喜びが、全編から感じられる。活き活きとしたキャラクター達が有吉の喜びから生まれたのがよくわかる。その喜びは、時に冗長な描写や展開を導いたりもするが、社会問題を内包しつつも、エンタメを貫こうする有吉の姿勢が心地良い。夫の転勤に伴い、大阪から東京の社宅に越してきた音子が主人公なのだが、個性的な社宅の妻達に翻弄されながらも、(つづく)2018/02/06
まーみーよー
34
かなり面白かった。一流商社の社宅に住む思い込みの激しい主婦音子が主人公。音子をめぐるかなり濃密な人間模様がこれでもかとばかりに繰り広げられる。思い込んだら猪突猛進の音子には共感できないしうんざりもするのだが最後には憎めなくなる。著者有吉さんのそんなバランス感覚が素晴らしい。社宅で生き延びるコツは口を閉じることかな?2025/07/26
Atsushi
27
大手商社の社宅に住む主婦の狂想曲。その人間関係に起因する軋轢や確執の次元の低さには辟易させられた。でも、男たちは知っている。男の見栄や劣等感、嫉妬や妬みは、女のそれらより何十倍も根深いことを。2018/05/20
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