出版社内容情報
映画の中には魔物がいる!ミステリファンのみならず、映画ファン、文学ファンをも堪能させ、昨年の話題をさらった悩殺的小説
内容説明
大学の映画科教授となったジョナサンは幻の映画監督マックス・キャッスルの謎を追いつづける。どう観てもB級としか評価できない作品の、なにがこんなに彼を惹きつけるのだろうか。その答えはフィルムの中に隠されていた!映画界の「闇」をめぐる虚実のあいだに、壮大な仕掛けをめぐらせた危険なゴシック・ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
75
入れ替え制も座席指定も無く、混んでいる時は通路に座って観ていたかつての映画館、冒頭部分にそんな懐かしさを感じ読み進める。やがて、稀なる技術により映画に秘めたられた闇と魔の鮮烈なイメージに圧倒されると共に、虚と実の物語づくりの狭間の中で翻弄される。下巻では壮大な思想と陰謀も顕になり、全体を通してめくるめく様な読書を体験した。故にラストの展開が少々唐突と感じてしまうのは欲張りすぎだろうか。 2019/12/20
財布にジャック
46
上巻を読んだ時は挫折一歩手前でしたが、諦めずに下巻を読んで良かったです。上巻は映画一色でしたが、下巻は一言で言うと宗教絡みの冒険譚で、スリリングな展開に、ドキドキが止まりませんでした。テンプル騎士団やカタリ派のことをインターネットで調べながら、なんとか物語についていこうと必死でした。最後まで読み終えて、漸くミステリーベスト1という帯の文字に頷いている自分がいました。今猛烈に誰かとこの内容について語りたい心境なのですが、周りに読んだという友人が全くいないのが残念です。2011/07/24
Small World
27
読んでて思わず、〜Oh!,my クーレア♪、と歌ってしまいました……w。予想だにしなかった展開で、ついポカーンとなっちゃいますね。下巻の途中までは「薔薇の名前」と「ダヴィンチ・コード」の中間ぐらいに位置してると思ったのですが、まさかのエンディングでした〜、後ろにフィルモグラフィーがあって、先に見ちゃった時に、ん?ってなった箇所があったんですよねー……。まあ、そういうことだったんですが、不思議と磁力が強くて、「面白い」と言ってよい作品だと思います。(このミス1999海外編第1位作品)2019/05/27
アプネア
13
下巻ではより深化し、なぜ映画製作に至ったのか?を基軸に重層的・多角的に迫っている。特にそのホワイダニットをマックスと秘密結社との数々の符号、カタリ派の連綿と続く受難の歴史や教義に落とし込んでいるのが上手かった。また、フィルムの端々に剥き出しの残酷描写を潜ませ、「我々の生きている世界はどれ程乙に澄ませようとも、一皮剥けばこんな地獄なんだぜ!ならばいっそのこと・・・」というブッ飛んだ思想に価値観をグラグラ揺さぶられる。手放しで賛同は出来ないが一理あるか?まあそう思った時点で、魔に魅入られたのかも。2017/07/29
hit4papa
12
読み込むのに相当骨の折れる大著です。ストーリーは、ひとりの青年の数奇な運命を描く至極単純なもの。しかし、それに肉付けされる哲学的とも、宗教的ともいえる虚実織り交ぜた巧緻な描写に、翻弄されることでしょう。最後まで読み通したならば、満足感は絶大です。