内容説明
この巻に登場するのは、日野富子、松永久秀、陶晴賢、宇喜多直家、松平忠直、徳川綱吉の六人。いずれ劣らぬ“悪人”たちだが、晴賢、久秀のように悪逆無道の限りを尽くした武将もいれば、綱吉のように賢く気性もすぐれていながら、五代将軍となったが故に、後世の誹りを受けることになった人もいるのである。天下納得の六悪人参上。
目次
日野富子
松永久秀
陶晴賢
宇喜多直家
松平忠直
徳川綱吉
著者等紹介
海音寺潮五郎[カイオンジチョウゴロウ]
明治34(1901)年、鹿児島県に生れる。国学院大学を卒業後、指宿や京都で中学校教師を務めるかたわら創作にはげむ。「サンデー毎日」大衆文芸賞受賞を機に、執筆生活に入る。昭和11年、『天正女合戦』で第3回直木賞を受賞し、文名を不動のものとした。和漢の書にあまねく通じ、綿密な時代考証の上に、独自の史観を展開し、小説に随筆に新たな領域を拓き、多くの著作を残した。昭和52年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kawa
34
取上げる悪人は、日野富子、松永久秀、陶晴賢、宇喜多直家、松平忠直、徳川綱吉の6人。応仁の乱から戦国、江戸初期まで。小説ではなく歴史史料を掘り起こす史伝のおもむき。各々、詳細な記述で読みがごたえがありだが、関連する小説等を読むときのアウトライン押さえに便利。宇喜多直家は、木下雅輝「宇喜多の捨て嫁」のストーリー展開通りの悪役ぶり。海音寺先生の悪人としては小物の評価が興味深い。両著比較しながらの再読も一興だ(昭和36年初版)。2023/02/21
さつき
23
近世篇では日野富子、松永久秀、陶晴賢、宇喜多直家、松平忠直、徳川綱吉が取り上げられています。日野富子伝の中で足利時代ほど日本人の道義観念の低下している時代はない、と語られているのが印象深かったです。陶晴賢伝を読むと毛利元就の謀略が際立っていて、そちらにも興味が湧きました。武将列伝も読んでみたいです。2016/01/29
明智紫苑
5
特に評価が難しいのが綱吉だな。誰かが「日本人が弱者に対して優しくなったのは綱吉政権以降だ」と言っていたし。まあ、現代の欧米の動物愛護団体にも厄介なのがあるけどねぇ…?2015/06/05
めぐみこ
4
室町から江戸中期にかけて、六人の悪人の生き様を綴る。日野富子、松永久秀、陶晴賢、宇喜多直家、松平忠直、徳川綱吉…なんというか、一口に悪人と言っても色々だ。そして“悪”も一種の才能だと感じた。大多数の人は、彼らのように極端には走れないし、歴史に名を残せないのだから。2018/09/11
たかし
3
日野富子から綱吉まで。時代的には室町中期~江戸中期といったところか。別シリーズである武将列伝の方で信長やらを扱う関係上、戦国武将は松永久秀、陶晴賢、宇喜多直家の3人のみ。他は知名度落ちるけど、どれも中々。松平忠直なんぞガチの快楽殺人者で、桀王やら紂王みたいなやり方で人を殺しててマジかよ、創作じゃね、と思った。面白かったのが、日野富子で、「足利時代ほど道徳観念の低下している時代はない。これに匹敵するくらい現代も無道徳時代だ」って言ってる。ふーん、昭和末期って、大変な時代だったんですね。2016/01/25