内容説明
徳川旗下の武将・水野忠重の嫡男勝成は、十六歳の時遠州高天神城での初陣で手柄を立てた豪勇の士であったが、ささいなことで人を斬り出奔。豊臣秀吉、佐々成政、黒田長政に仕えた後、関ヶ原の合戦前に徳川家に帰参する。その男の意地を貫き通した爽快な一生を描いた表題作の他、珠玉の短篇9本を収録。
著者等紹介
海音寺潮五郎[カイオンジチョウゴロウ]
明治34(1901)年、鹿児島県に生れる。国学院大学を卒業後、指宿や京都で中学校教師を務めるかたわら創作にはげむ。「サンデー毎日」大衆文芸賞受賞を機に、執筆生活に入る。昭和11年、『天正女合戦』で第3回直木賞を受賞し、文名を不動のものとした。和漢の書にあまねく通じ、綿密な時代考証の上に、独自の史観を展開し、小説に随筆に新たな領域を拓き、多くの著作を残した。昭和52年12月没
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感想・レビュー
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スー
22
16知ってる武将から初めましての武将まで8人の個性的な武将の短編。最初は水野勝成でこの人が読みたくて買ったので安定の面白さでした。他にも好きになったのが最上家の猛将・鮭延秀綱の乞食大名、信玄と家康と蒲生氏郷に愛された曲渕勝左衛門、島津義弘に愛され朝鮮と関ヶ原で武功を挙げた中馬大蔵、秀吉に見出だされ秀次に仕え最後は前田利長の元で大聖寺城攻めで壮絶に戦死した富田高定、鮭延以外は知らなかったけどすごい引き込まれもっと知りたくなる作品でした。こんな個性的な武将を使う側の器や苦労も垣間見得て良かった。2021/01/29
タツ フカガワ
6
思いがけない面白さにびっくりの1冊でした。中編と短編計8作を収録。戦国時代、のちの備後福山藩主水野勝成は稀代の傾き者。その彼の凄まじい一代記が表題作。ちなみに幡随院長兵衛を殺した後に切腹した旗本奴の水野十郞左衛門は勝成の孫にあたる。このほかどれも読みごたえのある作品ばかりですが、印象深かったのは「乞食大名」。元最上藩家老鮭延秀綱の、矜持と優しさに溢れた生き方は感動の一編でした。2018/02/03
はるまさ
5
戦国時代を駆け抜けた豪快で、侠気に溢れた男の中の男たちの物語。主人公一人ひとりに対する作者の愛情が感じられる。戦国武士達の真っ直ぐさが、爽快であり、ユーモラスであり、そして時々切なかったりもする。2014/03/05
またべえ
4
皆様かぶいていらっしゃいますね。 「男一代の記」の中馬大蔵、「島津奔る」にも登場してましたよね~。豪快過ぎて関係者大変そう(^^;)2013/11/17
たなかか
2
自己中心な武者 意地が情けない展開を招く展開歴史のメインイベントを語らず 拍子はずれな気もするけど その間が独特で不思議な感じ。こじき大名はすごいね2015/09/07