出版社内容情報
春秋時代の楚の国。不幸を呼ぶ絶世の美女夏姫に近づこうとする荘王を諌めた巫臣であったが……。中国古代を舞台にした傑作小説集
内容説明
中国の春秋時代、楚の国に希代の美女夏姫が連れて来られたとき、すでに四十歳になろうというのにたちまち楚王を魅了した。大夫の巫臣は王をいさめたのだったが。その行くところ必ず不幸と禍いのたねになる美貌の女を描いた中篇「妖艶伝」。他に「蘭陵の夜叉姫」など著者得意の中国古代を舞台にした八作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
70
宮城谷昌光が、『夏姫春秋』で取上げてくれたので、夏姫の存在をようやく知ることができたが、中国における女性史は本当に興味深い。列伝という形で読みやすく まとめてくれたのは海音寺潮五郎の中国史に対する造詣の深さであろう。2010/08/01
たかし
1
中国歴史小説の短編集。夏姫、張角、呂不韋といった歴史上の人物を主役にしたものもあれば、架空の人物を主役にしたものもある。やはり夏姫を主役にした妖艶伝がいいかな。40を超えても美女というあたりが妖しいの一言だ。また、全く意味がわからなかったのが遥州畸人伝。解説を読むと、GHQの占領時代、日本の西南戦争での出来事を書くと規制されるから、中国歴史小説に仕立てたのこと。作家の苦労が偲ばれる。2018/02/25