出版社内容情報
北京、モンゴル、モスクワと広大な地平線をヨーロッパへ疾走する古典的な国際列車の旅。饒舌な対話の中から新しい家族作りが始る
内容説明
朝露に濡れた黒すぐりと野趣豊かな馬乳酒を手に北京、モスクワ、ロンドンとユーラシア大陸の壮大で戦慄的な地平線を国際列車で行く古典的大洋行。大陸を空路一飛びするように唐突に結婚してしまった私たちは、今度は大地を踏み固めながらお互いをじっくりと凝視め直し、この結婚をもう一度確かめ合いたいと思ったのである。
目次
失われた地平線を求めて、待てば鉄路の日和
太平洋戦争は魔都の枕元で始まった
上海のジャズは今も見事に生きている
中国人と大自然との不思議な狎れ合い
ミグ戦闘機が小鳥のようにじゃれてくる
国境のソ連兵は自動小銃を構えていきり立つ
バイカル湖は“世界三大退屈”の一つだ
特権階級は誇らかに果物の袋を提げる
オデッサの夜は食事を捨てオペラへ走れ
アゼルバイジャン号の澪は私の深呼吸
世紀のいんちきバーテンが作るカクテルの味
真夜中のヴェニスの伽藍に祝婚歌が響いた
オリエント急行は大地震の演習か
ロンドンは地獄の小鬼たちの巣窟〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュースの素
9
再読。この本には2つの不思議がある。ウランバートルに着いたと言う写真、あれはサインシャンダ駅だ。文庫化の時に判明しなかったのか。もう一つは中・蒙国境で行われる重要な「儀式」とも言える台車交換の事に全く触れていない。ま、それはいいとして当時33歳の勝見氏の老長けぶりに心底驚いた。82年に北京からモスクワ、そして船やオリエント急行でロンドンまで行く大紀行だが、当時の国力の違いが大きい。理論ずくめの会話が滑稽に思えるほどだ。かれんさんの青春が見えて楽しい。2019/04/21
ジュースの素
8
旧本で読んだのだが まいっか。30年前の旅の模様なので隔世の感あり。特に 中・蒙・ロだから余計に。まだ個人旅が難しい当時、あらゆるツテで新婚の桐島夫妻と十代のカレンの3人で北京からモンゴル~ロシア~欧州までの列車の旅をした記録。今は亡き勝見洋一は飛び切りの文化人だった。二人の会話たるや込み入った会話の巣窟だ。シベリアの貧しさがやっぱり気になる。2017/06/16
Yasuhisa Ogura
0
著者と、再婚した12歳年下の夫、娘のカレンの3人が上海から北京、モンゴルを経てシベリア鉄道でモスクワ、そこから飛行機、船などでロンドンを目指す旅行記。肩に力の入った文章が、かえってこの旅の高揚感を感じさせてくれる。しかし、なぜか違和感も感じる。その一つは、この旅は1984年夏のことだが、もっと昔の旅のように感じること。その理由は、バブル経済の始まりに書かれたことから、物質社会への抵抗がふくまれていたからではないだろうか。もう一つは、作者が女性だということだろう。男とは、目の付け所が違う。 2013/06/07
ジュースの素
0
確か3度目の読了。 私はこの路線の旅を途中までだが経験しているので、楽しんで読めている。 この当時は然るべき筋に頼まないとこの手の旅は絶対に不可だった。不思議なのは中国とモンゴルの国境で必ず行われた台車交換の事に触れていない事。 しかし、中身の濃い凄い旅、読む自分も楽しめた。2023/06/15
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