出版社内容情報
聖少女でもあり、聖少年でもある無道徳な明るさと空しさを持つ少年少女を生き生きと描いて、直木賞を受賞した「聖少女」と、「背後の影」「汚れた天使」「鋳匠」の四短篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
146
第58回(昭和42年度下半期)直木賞受賞作品。 純粋無垢な悪魔のような少女を描く作品は多いが、本書は逆に過去の少女の呪縛から逃れられない検察官を描く。 過去の栄子と現代の英子。大人の常識など全く通用しない「無道徳」的な明るさをうまく描いていて、新鮮である。過去から逃れられない大人は女性だけでは ない。 2013/07/07
冬見
12
「聖少女」殺人を犯した少年と気まぐれな一夜を共にした少女の不可解な行動「背後の影」青髭に引っかかり姿を消したらしい女とそれを追う記者「汚れた天使」娼婦が見せた世の中の残酷な仕組み「鋳匠」鐘が焼け落ちた後命を絶った鋳匠◆表題作は直木賞受賞作。どの作品もミステリテイストで物語展開やオチに珍しさはないが、描写が上手く引き込まれる。「鋳匠」が特に良かった。著者が元新聞記者だからか登場人物に記者が多く、記者ならではのネタやトリックがあり面白い。どの作品も突き放され呆然と立ち竦むようなラストで、印象に残っている。2019/06/26
oknkareha
2
第58回。少女・少年を無垢として描ききっている点が素晴らしい。少年・少女は無垢な存在で、罪を犯すのは社会に汚されてしまったせいなのである。非行少女と聖少女という、一人の人間の中に両立しえない二面性を持つ立花英子と同時に、過去失踪した主人公の娘の栄子が語られる。栄子もまた英子と同じ二面性を持ち合わせるが、非行の面は事実であるに対し、聖の面は主人公の願望的補完である。そうした、栄子という娘を持つ主人公が、立花英子の二面性を目の当たりにし、娘の失踪を肯定できたのではないかと思う。2014/01/26
timorry
2
解説にもあるように、それぞれの短編が、「聖少女」という言葉をキーワードに、互いにリンクしているのはわかる。けれども、なにせ話の内容難しくて、読解に時間がかかる>_< 直木賞は、難しい作品が多いのかな?2013/02/21
hikarunoir
2
ただ嘘つきってだけじゃんか。