出版社内容情報
満蒙の曠野を彷徨う敗戦兵がたどった苛酷な百十一日。祖国に見捨てられた兵士の悲願と修羅を描く秀作六篇。他に「戦史断章」収録
内容説明
全滅した戦場に生き残って敗残兵となった瞬間から、私の長い“かえりなん、いざ”が始まった。しかし、それは壮絶な戦いと試練の百十一日だった―満蒙の曠野をさまよう兵士の悲憤と修羅を描く「戦記小説」六篇と「戦史断章」二篇を収録。長年にわたり、戦争と人間の真の姿を見つめ続けてきた著者会心の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
25
○体験談なのかなと思ってしまう臨場感溢れる戦記小説と大日本帝国の構造への疑問を投げかける戦史断章で成り立っています。陸軍上層部の無策無責任振りへの怒りが露になっています。指導者の無策無責任は今もあまり変わらないのかなと感じました。2025/02/06
イプシロン
20
本当に戦争を知りたいなら、こういう本をこそ読むべきだ。筆者、五味川純平は『人間の條件』で有名な人。本書は応召兵としてソ満国境での戦闘の後、百十一日にわたって満州の地を歩いた筆者の体験記と、アッツ玉砕、そして日本の植民地政策の害悪を暴いた、霧社事件の三部構成である。その時自分は何ができたのか? という視点は、敗残兵となった最初の短編で直接言葉にされている。犠牲とは何かを失うことによって何かを得ること。では玉砕で何を得たのだろうか? 敗戦までの時間的余裕か? なお一層犠牲者を増やすことか? 考えてみるべきだ。2014/11/24
タンク
1
満州にて所属の部隊が壊滅し、終戦を知らぬままに故郷を目指す敗残兵たちの道のりを描いています。凄絶をきわめています… 躊躇いなく激しい怒りが綴られていますが、決してそれへの異は唱えられない。筆者の無念が今でも脈打ってるように思える一冊です。 一篇ずつ読み進めるつもりが、いだてんの38話までにふれておきたくて一気読み。 最後にはこれまで全く知らなかった、台湾で起きた事件に絶句させられました。 数え切れない業が、知られてない惨劇が本当に沢山あったのでしょうね…2019/10/05
yamakujira
0
(★★★☆☆)
しんこい
0
満州の奥地に取り残されたら、兵隊も悲惨です。それにしても、どこに勝算があったのかみたいな話ばかり。2011/06/30