出版社内容情報
第二次世界大戦下の一九四二年、濠州バーメラ日本人収容所の生活は抱腹絶倒の連続だった。だが或る日アメリカ軍負傷兵のブラスバンドに送られて、威風堂々と脱走することになって…。解・松田銑
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
400
再読だが、エピローグを読み終わったときには思わずため息が出た。ああ、いい小説だったなあ。本書は井上ひさしがロジャー・パルバース等の招聘によってキャンベラのオーストラリア国立大学の客員教授を1年間務めた時の成果の一つ。オーストラリア大陸の広大さ、アウトバックの無際限さ、そしてアボリジニの人々の送った近代史と脈々たる文化、そうしたものが遺憾なく十全に生かされた作品。これを読むと、井上がオーストラリアに暮らしたことは大いに意味があったのだなあと思う。また、これは井上の人間観の暖かさの横溢する小説である。2020/06/11
松田望
1
オーストラリアに住む邦人が、戦中の日本人収容所虜囚の手記をもとに小説に再構成した……という体の物語。 この小説を書いた当時、作者の井上ひさし氏がオーストラリアに移住していたことをあとがきで知る。それを踏まえると井上氏が実在した手帖をもとに再構成したノンフィクションという設定のメタフィクションなわけで、あとがきから読んでいたらより楽しめたのに、と残念に思う。 2014/07/05
じゅげむ
1
オーストラリアの日本人収容所からの脱走。悲しい話なのだが、ユーモアがある。実話風に見せているのもうまい。2012/07/14
ケンチャン
1
オーストラリアでの日本人収容所からの脱走劇。オーストラリア独特の風土や気候の特徴も描かれ、楽しい読み物になっている。2011/07/09