出版社内容情報
お受験合宿のため湖畔に集った四組の家族。夫の愛人が殺され、妻が「私が殺したのよ」と犯行を告白。映画化された傑作ベストセラー。
内容説明
妻は言った。「あたしが殺したのよ」―湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な影が。真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。傑作ミステリー。
著者等紹介
東野圭吾[ヒガシノケイゴ]
1958年、大阪生まれ。大阪府立大学電気工学科卒。エンジニアとして勤務しながら、1985年、「放課後」で第31回江戸川乱歩賞受賞。1999年、「秘密」で第52回日本推理作家協会賞受賞。2006年、「容疑者Xの献身」で第134回直木賞受賞。同書は2005年度の「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」各第一位にも輝いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
610
年々加熱する子供のお受験を上手く殺人事件に絡めた作品。人を殺そうが子供の受験の方が大事、そのためならば死体の処分なぞ何のその、と子供の将来を思う気持ちが強いばかりに生まれる歪んだエゴが渦巻く物語。4組の夫婦が集うその合宿ではどこか淫靡な香りが漂う。閉鎖された空間で異常な論理で犯罪を隠ぺいしようとする行為はしかしたった1つの事実で反転する。親は子供に一体何をしてやれるのか。いやどこまですべきなのか?真犯人を知った後では全く物語に対する感じ方が変わってしまった。またもや東野マジックにやられてしまったようだ。2013/03/17
Kircheis
506
★★★☆☆ 東野さんにしては、久々に原点回帰というか、本格テイストあふれる作品だった気がする。 映画化もされたけど、周りでは不評だった。個人的にはボリュームも適度だしラストも割と好きだけどねぇ… まぁ殺された高階英里子が可哀想すぎるし、主人公の俊介が身勝手過ぎるという点で不条理さを感じる部分はある。2019/04/30
とも
412
淡々と物語が進み、読み難さも、文中の違和感もストレスもなくサラッと読了。深い感慨もムムッと唸るトリックも無かったが読んでる間中は読者を惹きつけるのは流石、東野圭吾といったところか。でも登場人物の誰一人にも感情移入はなかったな。 とは言え、とても読みやすい一冊でした。2017/06/01
ノンケ女医長
388
中学受験を目指す、子どもたち。その親はいろんな判断のできる年齢だと思うが、まだ十分に若い。そのタイミングにつけ込んだ、教育者による猛烈な悪意に怒りが湧く。同じような経過で、不正な入学を果たした生徒はきっと数知れない。監督する方法もない。入試問題に、既視感があることを追及する正義感のある受験生がいることを願う。不穏な気配を察知し、平和な家庭や将来を取り戻そうとする子どもたちの心は、今後も置き去りにされていくのだろうか。無限に広がる親の浅ましさに、遣る瀬無い気持ちになった。2023/01/07
どんちん
329
解説や本人によると全ての登場人物の内面を一切、描いていない。なるほど、ちょっと違和感を感じていたことは、それだったんだ。出だしから、これは人間関係ドロドロな話なんだと思いつつも、あまりドロドロ感を感じなかったのもそれが理由だったかもしれない。逆に、そのためか、ちょっと設定にはムリがあるかなとも感じた。が、最後の最後まで真相にはたどり着けなかった私には意見できないか?!やはりどんなことがあっても、自分の子供は大切だよね。2012/10/22