内容説明
著者が「愉しさを第一に」取り組んだ傑作時代小説。徳川家斉が大御所として君臨する天保十一年、絢爛たる吹上の桜見の会で奥女中らが注視する中、事件は起こった―。家斉が寵愛する中臈と背後の黒幕石翁。彼らの追い落としを謀る水野忠邦一派。両者の罠のかけあいを推理手法で描き、権力に群がる矮小な人間の姿を炙りだす。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により第5回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。92(平成4)年8月死去
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感想・レビュー
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はなん
31
松本清張が時代小説まで書いていたとは知りませんでした。初のドラマ化の話題から手にした一冊。予想以上に面白く、そして時代物の入門編にもなりそうな読みやすい話運びでした。さすが、ですね。考えてみたらこの時代をこんな視点から活字で読むのは初めてです。(ドラマは有名どころがありますが)結論はわかっているけれど、そこに行くまでのそれぞれの人間模様。下巻ではどんな描かれ方をしていくのか楽しみです。(意外と奥の様子は書かれてないな。ドラマはかなりアレンジされていそうですね)2016/03/13
ロデタ
6
面白い。積読で寝かせておかないでもっと早く読めばよかった。下巻へつづく。2019/10/09
しんた
6
著者のファンなので苦手なこの時代作品も読んでみた。むむむ…2015/05/04
go
5
これは糞面白い。松本清張は時代小説の方が上手い様な気さえする。下巻で失速しなければいいな2015/01/12
Hitoshi.F
3
松本清張が時代小説を書くとは驚き。しかし物語は時代こそ違えサスペンス。平和ボケした徳川中期、家斉大御所時代の物語。呆れるほど欲に駆られ武家、加えて大奥が企てる呆れた計画、登場人物も内容も大筋実話であるということのようだ、まさに平和ボケ。しかし小説としては面白い。オススメの一品、下巻が楽しみだ。2017/07/22