内容説明
明治維新とともに出発した新しい政府は、内外に深刻な問題を抱え絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発した。西郷隆盛が主唱した「征韓論」は、国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく。征韓論から、西南戦争の結末まで新生日本を根底からゆさぶった、激動の時代を描く長篇小説全十冊。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく“南蛮のみち1”」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。平成8(1996)年没
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感想・レビュー
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遥かなる想い
195
第28回(1990年)NHK大河原作。明治維新後の西郷隆盛と大久保利通を書いた 秀作。征韓論から西南戦争までの史実はある 書きにくいのはと思うが、司馬遼太郎は見事に本書の中で再現させてくれている。江藤新平・桐野利秋なども印象深く描いてくれている。2010/07/31
Die-Go
171
再読。来年の大河ドラマのために読む。時は明治始め。西洋の文化を取り入れ始めた日本。しかし、その中には西郷隆盛を筆頭に政府の方針に意見を異するものたち(具体的には征韓論)の姿があった。余談が多く、若干読むのに苦労するかもしれないが、それでもその余談が話を膨らませてくれていて楽しめる。前回は苦労したのが嘘のようにサクサク読めた。だけど、まだまだ序盤。★★★★☆2017/12/12
mitei
139
西郷隆盛を中心に書いた一冊。この巻は初代警視総監の川路の話が中心だった。維新の頃の雰囲気っていいなぁ。2010/01/27
財布にジャック
108
遂に、長い長い物語に手をつけてしまいました。実は西郷さんの誕生日が私と同じ12月7日だと知って親近感がわき、読んでみようと決意した次第です。案の定、予想通り司馬さんの主観で歴史上の有名な人達を語られてしまうので、イメージと違うかもと挫折しそうになりながらも、なんとか1巻は読了出来ました。木戸さんが西郷さんと会見するシーンで「お互い、生きすぎたかもしれませぬな」という台詞があるのですが、そこでは幕末の激動の歴史が走馬灯のように私の頭にもよぎりました。明治維新後の歴史をとくと拝見させていただきます。2013/01/22
優希
98
明治維新からの新たな時代での始まりなんですね。日本を揺さぶった西郷隆盛。新政府ができたのはいいものの、誰もが牽制しあい、自らの理想を実現させようとしているような気がしてなりません。権力闘争とも言えるでしょう。新しい日本がどう動いていくのか、また西郷どんの動きはどのようであったかを見ていきたいと思います。2019/01/24