出版社内容情報
さまざまな角度から歴史における日本文化の特殊性を分析・考察する司馬史観の集大成。竜馬、松陰等を語った「人間の魅力」も収録
内容説明
「葦原の瑞穂の国は神ながら言挙げせぬ国」(万葉集)―神ながらということばは“神の本性のままに”という意味である。言挙げとは、いうまでもなく論ずること。神々は論じない。―神道や朱子学はわが国の精神史にいかなる影響を与えたか。日本人の本質を長年にわたって考察してきた著者の深く独自な史観にもとづく歴史評論集。
目次
神道
会津
大名と土地
鉄
室町の世
連歌
宋学
看羊録
藤原惺窩
不定形の江戸学問
人間の魅力
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
124
神道、鉄、宋学を数回に分け多くを割いて書いている。土着の自然信仰だった神道と大陸から伝来した仏教を融合させた日本人の歩み。農業の発展に絶大な威力を発揮した鉄と日本人の関わりをあらゆる角度から考察している。何と言っても面白かったのは巻末の「日本人の魅力」。司馬さんが描いた幕末の志士たちの魅力が満載である。 2017/10/07
レアル
81
一番興味のあった「神道」。司馬氏はピンポイントで語るのではなく、その背景から入ってくれるので、読んでても分かり易い。そして東大寺やお伊勢さんなど、私にとって身近な場所が描かれているのも親近感がわいて良い。そして宋学。。こちらは中国史知識不足の為、その背景の知識に付いていけない部分もあるが、こちらも面白い。続けてラストの6巻へ。。2015/11/13
Die-Go
76
再読。日本と言う国の「かたち」を、司馬遼太郎の筆によって読み解く。司馬遼太郎と言うと、戦国及び幕末・明治の小説のイメージが強いが、その知識は古代にも及んでいる。本巻では神道、鉄などを古代史から語っている。★★★★☆2016/04/26
優希
53
神道や朱子学は日本の精神史にどのような影響を与えたかという考察が興味深かったです、日本人の本質を長年考察した司馬さんならではの疑問なのかもしれません。巻末の雑文も面白かったです。2023/03/29
Book & Travel
50
冒頭から七章に渡って論じられる神道に引き込まれる。もともと自然信仰だった神道が仏教と習合し、日本人の生活習慣と一体となって大衆化し、近代になって国家神道へと変遷していく。様々な角度から語られる神道論からは本来教義などない「言挙げぬ」神道への司馬さんの愛着が感じられる。中盤の「鉄」も、鉄と権力、神話、武家政権と壮大・深遠に展開され、読み応え満点。膨大な文献や取材によって蓄積された知識を基にした想像力と話の展開に、司馬さんの凄さを改めて感じた。司馬さんの日本人の見方が溢れる本シリーズも残り一巻。2017/07/10