出版社内容情報
オーストラリア大陸の北端に浮かぶ木曜島には明治初期から早くも高級ボタンの材料になる白蝶貝採集に従事する日本人ダイヴァーたちがいた。遠い異国で働いた男たちの軌跡。ほかに歴史単篇三作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
36
図書館本。明治から昭和初期にかけて、オーストラリア北方の木曜島周辺の海域で活発に貝が採取された。貝といっても白蝶貝などの特殊なもので、ボタンの材料にされた。その採取のほとんどをやっていたのは日本人だった。それも熊野地方からやってきた人々が多かった。明治初年、政府は租税を米ではなく現金で納めるように布告した。困ったのは農家だった。このため多くの農家は現金を求めて出稼ぎに出た。熊野ではその出稼ぎ先が木曜島だったのだ。他の民族とは比べものにならないほど日本人は貝を採取した。それは単に金欲しさからだけではなかった2018/01/02
Tadashi Tanohata
21
その時代その時代では大きな足跡を残しながらも、後世に名を残していない歴史人は以外と多く、そんな歴史人の歴史を司馬遼太郎で読む間は至極の時を刻みます。人生ですべての司馬作品を読むべく計画は進んでますが、また時を刻みました。なぜ後世に名を残さなかったのか、そのことにも司馬史観が切り込みます。2016/12/28
豆あひる
7
表題作は自分も話を聞かされているような気持ちで読んでいたけど最後のjapanese is japaneseでなんとも言えない気持ちになった。私がなんとも言えないなんて陳腐な表現しか出てこないのに詩句のような響きという表現にそれそれ!と自分の語彙力に絶望(笑)世に棲む日日を読んでる途中なので他の短編はタイムリーに楽しく読めた。2025/02/26
AICHAN
7
日本人って何で昔から競争好きなのだろうかと、この小説を読む度にそう思う。私は競争好きではないが、もっと上のレベルを目指したいといつも思って努力していたから、結果的に競争するようなことになることが多かった。その無理がたたっていろいろな病気になった。競争はいかん。2011/11/19
出世八五郎
5
短編集。興味をそそらないつうか・・・司馬全作品読破するぞ~と決意した頃読んだ。未だ司馬全作品読破ならず。