文春文庫<br> ステッセルのピアノ

文春文庫
ステッセルのピアノ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 379p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167100292
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

パリ、ペテルブルク、大連、旅順、金沢、旭川、遠軽、水戸、浜松など"伝説の誕生"の謎を追う。そこに浮びあがる意外な事実は……

内容説明

日露戦争後にロシアのステッセル将軍から乃木将軍に贈られたとされる金沢のピアノ…。しかし、この伝説のピアノは日本各地に存在していた―その謎を追って、パリ・ペテルブルク、大連、旅順、金沢、旭川、遠軽、水戸、浜松など、ピアノの数奇な運命をたどる感動の物語。デビュー以来、初の書下し作品。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クラムボン

17
「百寺巡礼」で金沢野田山の墓地にある日露戦争のロシア人捕虜のお墓のことに触れていた。そしてこの本のことも。元々は旧知の北國新聞の記者から、ステッセル夫人愛用のピアノが金沢にあることを聞いたのが始まり。ステッセルは旅順守備隊の司令官、日本側は乃木だった。ピアノはステッセルから乃木に贈られたというが、水戸・旭川・遠軽(えんがる)にも同様のピアノがあるという情報が…。日露戦争を軸に大連、ペテルブルグ、パリと遠大な旅が始まる。エッセイだが、しかし、ステッセルのピアノへの思いが詰まった《ものがたり》でもある。2021/10/22

おっとー

12
日露戦争の旅順攻略後、ロシアのステッセル将軍から乃木希典に渡されたとされるピアノがある…それも一つではなく、金沢、旭川、水戸、遠軽などに…。本書はこの伝説を探るべく、筆者の行った旅の記録である。ただし真相は闇の中。いや、真相なんて不要なのだ。必死に資料を漁ったり、人に聞いたりして真実なるものをつきとめても、人を幻滅させるだけ。それよりも、日露戦争後の痛ましい状況のなか、ほっこりとする伝説が自然と生じてきたことのほうが大事である。合理性、事実といった近代性ばかりでなく、人には誰も傷つかない物語が必要なのだ。2018/05/06

ソバージュ

10
日露戦争後ロシアのステッセル将軍から乃木将軍に贈られたとされる「ステッセル夫人のピアノ」が、金沢・旭川・水戸・遠軽などに存在することを知り、日本各地、ロシア、パリや中国に調査の旅に駆け回る作者。ルポルタージュ?エッセイ?いや小説だそうだ。ロシア女性の言葉「事実が必要ではない。深く傷ついた人ほど美しい物語を必要としている」が印象的。2019/04/30

ユミセツカヤ

7
乃木希典とステッセルの関係や、その時代にピアノが存在していた事、そこにある「ステッセルのピアノ」と言われているピアノが、どんな経緯でそこにあるのか、詳しくはわからないのだが、そこに想いを馳せる作者に共感した。明治時代の日本における「ピアノ」の価値は、今の世の中とは違うだろう。が、ピアノに宿る「魂」のようなものを想像すると、その時に懸命に生きた人々に想いが至る。2018/06/07

がんもどき

5
図書館本。 日露戦争の折、ロシア将軍ステッセルから日本の乃木将軍に贈られたというピアノについて書かれた本。著者曰く"小説でなく、といって随筆でもなく、またルポタージュでも、紀行文でもなく、さらに批評でも、評論のたぐいでもない"本。読んでいてなんとなく胡散臭いものを読む時の様な尻の座りの悪い感覚がするなと思っていたら、今までそう言う本は、五島勉のノストラダムス本でしか出会ったことがなかったからだった。2019/05/22

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