文春新書<br> 基軸通貨ドルの落日―トランプ・ショックの本質を読み解く

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文春新書
基軸通貨ドルの落日―トランプ・ショックの本質を読み解く

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  • サイズ 新書判/ページ数 224p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166615032
  • NDC分類 338.97
  • Cコード C0295

出版社内容情報

世界を揺るがせた「トランプ・ショック」。
この唐突な関税措置に対して、こう考えている人は少なくないだろう。

<自由貿易というリベラルな国際経済秩序は、アメリカを含む世界各国に利益をもたらしており、堅持すべきだ>
<トランプは「取引」によって、短期的な利益を上げることしか考えていない>
<リベラルな国際経済秩序に反するトランプ政権の行動は、ドルの急落を招く。経済指標が悪化すれば、アメリカは翻意するかもしれない>

本書で示されているのは、これらとはまったく違う認識である。
まず言えるのは、既存の国際経済システムには致命的な欠陥があるということだ。
 
1980年代以降、「自由市場が最適な資源配分を実現する」という新自由主義イデオロギーを背景に、ヒト・モノ・カネが国境を超えて活発に移動する「グローバル経済」が台頭。
その結果、世界には2つのタイプの「レジーム」(経済体制)が出現した。

ひとつはアメリカなど、債務(借金)を増やして消費を拡大し、経済成長してきた「債務主導」レジーム。
グローバル経済のもと世界ではバブルが起きやすくなっており、バブルが続いている間であれば「債務主導」レジームも経済成長は可能だった。


もうひとつはドイツ、中国、そして日本など、「債務主導」レジームの国々へ輸出することで経済成長を追い求めた「輸出主導」レジーム。

経済のグローバル化が生み出したのは、後者の貿易黒字を、前者の消費が吸収する「グローバル・インバランス(不均衡)」だったのだ。

しかし2008年のリーマン・ショックでバブルが崩壊。どちらのレジームも成長が困難となり、以来、世界経済は長らく停滞が続いている。

こうした経済体制へのアメリカの不満こそが、トランプ・ショックの原因なのである。 

関税措置に目を奪われがちだが、トランプ・ショックの本質は通貨政策にある。

関税と、これまでアメリカが提供してきた安全保障を武器に、基軸通貨としての地位を維持しつつもドル安を誘導し、アメリカの製造業の競争力を強化する。
つまり、ニクソン・ショックと同じく、既存の国際通貨体制を破壊し、自分たち有利なものへと作り変える――これがアメリカの真の狙いなのだ。

ただし、第二次トランプ政権の企ては必ず失敗する。それはなぜか?

そして、その失敗は既存のリベラルな国際経システムの崩壊を決定づける。では、世界経済はどうなってしまうのか?

「通貨」という視点から、世界経済の歴史的な構造変化を徹底分析。
本書を読むことで、世界経済についての解像度が上がる!


【目次】

【はじめに】
トランプ・ショック/元外務審議官の見解/
今のアメリカは過去のアメリカではない/問題は関税ではなく、通貨である

【第一章 マールアラーゴ合意】
スティーブン・ミラン/トリフィンの世界/国際通貨システムの限界
関税と安全保障による脅し/ミラン論文の論理/ブレトン・ウッズ体制
ニクソン・ショックの再現?

【第二章 通貨とは何か】
二つの貨幣論/商品貨幣論/信用貨幣論/負債のピラミッド/信用創造
貨幣と国家/日本やアメリカの財政破綻はあり得ない/機能的財政
財政政策の違い/金融政策の違い/トラス・ショック
トラス・ショックの真因

【第三章 基軸通貨国の特権】
国際通貨体制/通貨の階層秩序/ドル本位制/「法外な特権」とは何か
経常収支赤字の持続可能性/「経常収支赤字ファイナンス」論の誤謬
バーナンキの誤解/トリフィンのディレンマは存在しない
ミラン論文の欠陥/中国による米国債の売り浴びせ?

【第四章 グローバル・インバランス】
新自由主義/新自由主義の起源/ニクソンの誤算/輸出主導の成長
金融化とグローバリゼーション/二つの「レジーム」
グローバル・インバランスがトランプ政権を生んだ/中国の台頭
中国の長期停滞/グローバル・インバランスの是正を目指すベッセント
経常収支黒字を減らす方法/ヨーロッパの大転換
共通通貨ユーロと新自由主義/積極財政に転換したEU
トランプ政権の新自由主義
 
【第五章 テクノ・リバタリアンと暗号通貨】
バイデンの警告/乗っ取られたアメリカ/テクノ・リバタリアニズム
バイデン政権の反・新自由主義/ベッセントのバイデン批判
新自由主義の逆説/暗号通貨とは何か/暗号通貨の欠陥
エルサルバドルの実験/暗号通貨バブル/国家の崩壊

【第六章 トランプ・ショック後の世界】
国際緊急経済権限法/「武器化された相互依存」/金融の核兵器
国際金融の地政学/「武器化された相互依存」の逆説/捕食的自由主義
中国株式会社/自由貿易の旗/覇権国家なき世界/第二次冷戦
日本の岐路/

内容説明

突然の関税措置で世界を混乱に陥れたトランプ。その背景には基軸通貨ドルに関する不満があった。アメリカの目的は国際経済システムを再編することなのだ。現在の経済システムの構造、それを生み出した潮流を踏まえ、これから到来する「覇権国家なき世界」のかたちを考察する。

目次

第一章 マールアラーゴ合意
第二章 通貨とは何か
第三章 基軸通貨国の特権
第四章 グローバル・インバランス
第五章 テクノ・リバタリアンと暗号通貨
第六章 トランプ・ショック後の世界

著者等紹介

中野剛志[ナカノタケシ]
評論家。1971年生まれ。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業。エディンバラ大学大学院に留学し、2005年に博士号を取得。著書を通じて、以前よりグローバリズムについて警鐘を鳴らしつづけてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

読特

34
ブレトン・ウッズ体制を崩壊させたニクソン・ショック。冷戦の終結。東側諸国も巻き込む自由貿易圏の構築。世界は新自由主義の道を突き進んだ。資源供給国としてのロシア、巨大な消費市場を持つ中国の台頭。相互依存によって紛争を回避しようとする理想は、依存の重要性の偏りという現実の下に崩れた。トランプ政権による関税引き上げも、新自由主義の枠組みの中で踊っているだけである。故に失敗し、基軸通貨としてのドルの弱体は一層進む。米中は力関係が接近し、第二次冷戦が到来する。世界は主流派経済学の過ちに一刻も早く気付かねばならない。2025/08/16

日の光と暁の藍

15
トランプが関税の上げ下げによって何をしようとしているのか。このことに疑問を持つ人に是非読んでみて欲しい一冊だ。トランプ関税の裏の目的。それは、ドル安誘導によりアメリカ国内製造業の雇用を増やすことだけではない。マールアラーゴ合意によるドル安と国際通貨体制の再編がトランプの狙いだと著者は主張する。ミラン論文を元に、ドル安の弊害とその弊害の回避方法をトランプ政権がどう行おうとしているか。また、トランプの経済政策の著者の悲観的予想など読み応えがあった。国際通貨体制の歴史的大再編に立ち会っている今こそ読むべき一冊。2025/08/12

Emkay

10
関税政策の裏にある、ドルの切り下げによる世界貿易システム再編というトランプ政権の目論見を、ワシントンの現場感覚とアカデミックな理論の両方から解説する啓蒙的な内容。関税収入を増やし、他国にドル安を飲ませることが主目的であり、国内産業の保護は二次的なものだとする指摘が一番興味深かった。ドル高によって米国の産業競争力が損なわれているという認識が、トランプ政権に強いという。著者は新自由主義に対して批判的であり、それを礎に一連の政策が成功確率が低いという立場をとるが、批判の根拠が過度に理論的という印象を持った。2025/08/14

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