内容説明
「長く歴史に親しんでつくづく考えるのは、民族は、興隆した後に必ず衰退を迎えるものであること。興隆と衰退の間に長い安定期を享受できた民族は、実にまれにしか存在しなかった」―古代ギリシア、古代ローマ、中世ルネサンスから日本を思う。
目次
1(ローマで給水制限?;男と女・イタリア版 ほか)
2(東北再訪;「廃炉」のプロを目指して ほか)
3(危機を甦生に;本を読んでいた政治家 ほか)
4(楽しきフェミニズムはいかが?;ほんの小さな思い遣り ほか)
5(ローマでの“大患”;後書きに代えて―二人の有名人の死を見ての感想)
著者等紹介
塩野七生[シオノナナミ]
1937年7月、東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。68年から執筆活動を開始。70年、『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞。この年よりイタリアに在住。81年、『海の都の物語』でサントリー学芸賞。82年、菊池寛賞。88年、『わが友マキアヴェッリ』で女流文学賞。99年、司馬遼太郎賞。2002年にはイタリア政府より国家功労勲章を授与される。07年、文化功労者に。『ローマ人の物語』は06年に全15巻が完結(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
211
塩野 七生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。日本人へのシリーズも読み続けて5作目となりました。内容は良いのですが、時事問題を多く含んでいるため、5年前の文章を今出版するのは少し興醒めです。人類は2000年以上経っても、ほとんど進歩していない、個人的にローマ帝国のような世界連邦を望みます。著者も高齢となり大病もしているので、体調が大変心配です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166613861 今年は、本書で読み納め、読了です。2022/12/31
trazom
131
塩野さん85歳。EUの混乱やコロナ禍に直面しても、この人はブレない。民主政(「民意」こそが真の正当性を持つなどという幻想からは、いい加減に卒業してはどうか)、難民・移民(外国人を労働者として受け入れるか、一個の人間として受け入れるか)、フェミニズム(男性的要素と女性的要素が拮抗の関係になってはいけない)など、塩野節が炸裂する。私は「ローマ人の物語」では第10巻「すべての道はローマに通ず」が一番好きだが、「インフラとは「経済」ではなく「政治」」に、改めてインフラや公益に対する塩野さんの熱い思いを受取った。2023/02/22
tamami
76
塩野さんとは、『ルネサンスの女たち』以来一読者としてかれこれ50年近くの付き合い。今から思うと、中世イタリアの王侯貴族の世界になぜあんなに夢中になったのか不思議な位であるが、結局彼女の描く人物像の面白さに惹かれたのだろうと思う。本冊では、王侯貴族の代わりに塩野さん自身の面白さを堪能しつつ、イタリアの地から発する岡目八目的な見方に頷くことが多かった。余談であるが、処女作掲載の若き著者の肖像と本冊表紙の写真を見ながら、一人の女性の一生を思ってしまった。いやー、読書ってこういう楽しみ方もあるんですよ。(失礼!)2022/12/23
読特
71
「桜を見る会」「原発事故」「憲法改正」云々、政治絡みのご提言も多い。中曽根元首相と面会していたり、月刊Hanadaを読んでいたりするのでわりと保守の人?今となっての地雷を踏んでいないかと序盤はハラハラ。が、頁を進め様子がわかると微笑ましくなってくる。1937年生まれ。御年85歳。ご高齢女子のお茶のみ相手をしてるつもりで読むと楽しく感じる。他愛もない言説を利用する政治勢力もなかろう。PCもスマホも頑に使わない女史相手に遠くイタリアからの原稿取り。編集者も大変だっただろう。読者としては面白ければそれでよい。2023/03/19
金吾
45
○塩野さんのエッセイは現在の事象を歴史と対比しながら話を進めていく部分が好きです。また毒のある発言もありながらユーモアに溢れており読みながら微笑んでしまう時もありました。コロナの影響の大きさも印象に残りました。2024/04/05