出版社内容情報
殺生を禁じるのが、本来の教えであるはずの仏教。それが国と一体となって戦争を推進した時代があった。多くの寺院、文化財を破壊した廃仏毀釈を追った『仏教消滅』の著者が、昭和の戦争に至る、日本仏教界最大のタブーに挑む。
従軍僧の派遣、戦争を正当化する「戦時教学」「一殺多生」の提唱のみならず、梵鐘や仏像などを軍事物資の製造のために供出したり、宗派を挙げて軍用機を献納、軍艦製造に多額の寄付を行うなどの闇の部分に迫るべく、各地の寺院に残る戦争の痕跡を粘り強く訪ね、資料を丹念に掘り起こした、類のない歴史ドキュメント。
・「上野の大仏」が顔だけになってしまった理由
・四天王寺の「世界最大の梵鐘」が消えた
・著者の寺に掲げられていた「開戦詔書」
・「明照(上人)号」「花園妙心号」……各宗派が献納した軍用機
・朝鮮、台湾、満州……植民地は仏教布教のフロンティアだった
・東本願寺の門に「挺身殉国」の大看板 ほか
内容説明
住職の祖父が自分の寺に掲げていた「開戦詔書」。それが仏教と戦争の関わりを問い直す旅の始まりだった。宗門トップが戦争を煽る発言を繰り返し、植民地では次々と寺院が建立された。戦争を体験した僧侶から貴重な証言を聞き取り、今に残る「戦争の傷跡」を全国の寺院で取材。仏教界最大のタブーに挑む!
目次
廃仏毀釈からのサバイバル―明治維新(国家にすり寄った仏教界;島地黙雷と大教院)
進撃する仏教―日清・日露戦争(日清戦争と大陸布教;日露戦争―仏教の帝国主義化 ほか)
大東亜戦争と皇道仏教(戦争に熱狂する仏教界;戦闘機の献納競争 ほか)
仏像も鐘も武器と化した(金属供出と空襲;反戦の僧侶 ほか)
著者等紹介
鵜飼秀徳[ウカイヒデノリ]
ジャーナリスト。浄土宗正覚寺第33世住職。大正大学招聘教授。一般社団法人良いお寺研究会代表理事。1974年京都市右京区生まれ。成城大学文芸学部卒業。新聞記者、雑誌編集者を経て2018年に独立。仏教と現代社会とをつなぐ活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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