文春新書<br> 仏教の大東亜戦争

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文春新書
仏教の大東亜戦争

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  • サイズ 新書判/ページ数 288p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166613656
  • NDC分類 182.1
  • Cコード C0295

出版社内容情報

殺生を禁じるのが、本来の教えであるはずの仏教。それが国と一体となって戦争を推進した時代があった。多くの寺院、文化財を破壊した廃仏毀釈を追った『仏教消滅』の著者が、昭和の戦争に至る、日本仏教界最大のタブーに挑む。
従軍僧の派遣、戦争を正当化する「戦時教学」「一殺多生」の提唱のみならず、梵鐘や仏像などを軍事物資の製造のために供出したり、宗派を挙げて軍用機を献納、軍艦製造に多額の寄付を行うなどの闇の部分に迫るべく、各地の寺院に残る戦争の痕跡を粘り強く訪ね、資料を丹念に掘り起こした、類のない歴史ドキュメント。

・「上野の大仏」が顔だけになってしまった理由
・四天王寺の「世界最大の梵鐘」が消えた
・著者の寺に掲げられていた「開戦詔書」
・「明照(上人)号」「花園妙心号」……各宗派が献納した軍用機
・朝鮮、台湾、満州……植民地は仏教布教のフロンティアだった
・東本願寺の門に「挺身殉国」の大看板 ほか

内容説明

住職の祖父が自分の寺に掲げていた「開戦詔書」。それが仏教と戦争の関わりを問い直す旅の始まりだった。宗門トップが戦争を煽る発言を繰り返し、植民地では次々と寺院が建立された。戦争を体験した僧侶から貴重な証言を聞き取り、今に残る「戦争の傷跡」を全国の寺院で取材。仏教界最大のタブーに挑む!

目次

廃仏毀釈からのサバイバル―明治維新(国家にすり寄った仏教界;島地黙雷と大教院)
進撃する仏教―日清・日露戦争(日清戦争と大陸布教;日露戦争―仏教の帝国主義化 ほか)
大東亜戦争と皇道仏教(戦争に熱狂する仏教界;戦闘機の献納競争 ほか)
仏像も鐘も武器と化した(金属供出と空襲;反戦の僧侶 ほか)

著者等紹介

鵜飼秀徳[ウカイヒデノリ]
ジャーナリスト。浄土宗正覚寺第33世住職。大正大学招聘教授。一般社団法人良いお寺研究会代表理事。1974年京都市右京区生まれ。成城大学文芸学部卒業。新聞記者、雑誌編集者を経て2018年に独立。仏教と現代社会とをつなぐ活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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HANA

72
仏教も教団である以上は権力との関係を避けて通る事はできない。それは仏陀在世当時のサンガの時代から、中国の廃仏や日本だと比叡山関係等数多の例に事欠かない。本書は明治維新以来日本仏教界がどのように政府の政策に協力してきたかを紐解いた一冊。植民地への布教や戦時教学とかの仏教側の問題点も多いが、本書に示されているように根底にあるのは廃仏毀釈のトラウマかな。一度本当に潰されかけたし。釣鐘とかの供出はよく耳にしたけど、仏像の疎開や宗派関係の名を冠した戦闘機の供出は初めて知る。色々教えられることの多い一冊でした。2022/09/17

Cinejazz

21
殺生を戒める<仏教>が、無差別の殺戮を伴う戦争に直接的・間接的に関わったのか? 仏教教団のトップが戦争を煽る発言や戦勝を願う祈祷を繰り返し、植民地では次々と寺院が建立された時代を俯瞰し、いまも残る戦争の傷跡と仏教界最大のタブ-に触れた歴史ドキュメント。 明治の「廃仏稀釈」の壊滅的打撃からの仏教界の存続を懸け、昭和初期の「皇道仏教」という天皇に対する忠孝思想〝天皇は阿弥陀仏である〟と曲解し、国家の手先となって戦争加担した事実を認め謝罪したこと、反戦を貫いた僧侶のことなど、詳細な記録のノンフィクション。2023/01/09

Aby

10
明治以降,国家神道との力関係もあろうか,不殺生のはずの仏教教団が戦争協力に没入していく.しかも積極的に.◆植木等さんのお父さんの反戦と「スーダラ節」のエピソードは,大昔,NHK-FMの番組に出演された時に伺ったな.2023/05/17

またの名

9
「すべては空しい現象に過ぎないので剣が敵を貫いても勝手に現象たちがダンスし戯れただけで、戦う兵士に主体的責任はない」と説いた鈴木大拙の件のみならず、業界に戦争反対者がほぼ見当たらなかった七十年余り前の仏教界。推しは神という語彙をマジで真理として叫び出すかのように「天皇は阿弥陀仏である」が唱えられ、中国へ渡った従軍僧は現地民に対しスパイ活動を行う。敵はもはや人間ではないので殺しても仏教において重要な不殺生戒に違反してないなどの最大の根本教義改変に手を出すのは、仏教界にも20世紀にも日本にも留まる話じゃない。2022/08/24

fseigojp

7
著者の前作、廃仏毀釈も面白かった2022/09/12

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