出版社内容情報
アメリカの覇権をくつがえそうとするロシアと中国。サイバー技術とスパイを使った戦いは私たちに何をもたらすのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
183
情報戦で混乱させ、侵攻する…というプーチンのやり方はウクライナでも使われたが、米が事前に逆のプロパガンダを流したり、自撮り映像の拡散がロシアの偽情報を封じた。ここでは西側の結束が功を奏した(といっても後の方を読むと米の汚さにもうんざりするが)。中国は台湾の半導体技術を盗もうとサイバー攻撃をくり返し、民間企業と癒着してスパイ行為を行うなど市場の公平性を脅かす。一般人を巻き込んで監視国家へと導く習近平の手口には米ロとはまた違う怖さがあった。前に煮え湯を飲まされたトランプは、どのような対中政策を採るのだろうか。2024/12/29
HANA
57
外交はテーブルの上で握手して下では足を蹴りあっている。という表現があるけど、本書はその足の蹴りあいを情報戦という形で可視化した一冊。冒頭ウクライナ戦争が例として語られているのだが、これがプロパガンダの手本を見ているよう。アメリカが如何にロシアの宣伝を見破り孤立させたのかが手に取るようにわかる。で本題となる対中国の情報戦。中国が官民一体となって情報収集しているのに対し、アメリカがその対策に追われている印象。こういう非正規戦になると法を無視できるの強いな。断片的に漏れ聞こえてくる情報戦の全貌、面白かったです。2024/10/01
姉勤
38
平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、その世界を見ることを怠ってきた国民には、耳が痛い最終章から読むことをお勧めする。相手の価値観をコントロールする「認知戦」に悉く負け続けてきた80年。高度なテクノロジーがいよいよ茹で上がる温度まで加熱してきた。ロシアと中共のスパイ行為、不正経済活動、政治行政への侵食、マスコミ操作、世論工作の数々。本書の内容に不快感、違和感を持っている時点で、すでに罹患している証拠。何が進歩的な思考かが問われる。2024/05/08
はやたろう
12
米中心とする西側諸国に対するロシア、中国。その対決は、サイバー上、スパイ活動で一般人が気づかない中、壮絶なやりとりとなっている。表面上での発言、出来事以外の裏の動きが怖すぎる。この動きに日本がついていけていないのが、心配。プーチンも中国もなんやかんやで米国に要所を抑えられているみたいで、アメリカはやっぱり中国、ロシアと同じ穴のムジナのようだ。筆者のバイデン評価が高いのが意外だった。2023/01/15
coldsurgeon
10
サイバー空間での戦争が、もう世界的規模で始まっていると考えていいのだろう。ロシアのウクライナへの侵攻は、実践前にサイバー攻撃として始まり、その後のウクライナの巻き返しが、少しづつ戦果になっている。中国の深慮遠謀とアメリカの国を挙げた対応を見ていると、日本のサイバー空間への関りはとても貧弱だ。いろいろな組織に忖度しすぎて、法律を気にしすぎて、積極的な動きが取れない様子。サイバー戦争での敗者になる道しかないのだろうか、日本には。2022/07/27