出版社内容情報
源頼朝の鎌倉幕府をいつの間にか乗っ取り、その崩壊とともに消滅した一族。その勃興から最期までを第一人者が分かりやすく解説する。
内容説明
鎌倉幕府百五十年の歴史をつくった謎の一族、北条氏。名もなき一介の武士の一族が、なぜ政権を奪取し日本を動かし続け、最後は族滅したのか。時政、義時、泰時…、歴代の北条家当主のリーダーシップから読み解く鎌倉通史の決定版。
目次
第1章 北条時政―敵をつくらない陰謀術
第2章 北条義時―「世論」を味方に朝廷を破る
第3章 北条泰時―「先進」京都に学んだ式目制定
第4章 北条時頼―民を視野に入れた統治力
第5章 北条時宗、北条貞時―強すぎた世襲権力の弊害
第6章 北条高時―得宗一人勝ち体制が滅びた理由
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
東京大学史料編纂所教授。1960年、東京都生まれ。東京大学文学部卒、同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。鎌倉時代を中心とした日本中世史が専門。著書多数。監修の『やばい日本史』シリーズがベストセラーになっている。マンガ『逃げ上手の若君』で解説、ゲーム「Ghost of Tsushima」にアドバイザーの一人として参加するなど、多方面で活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
64
小学校の社会の歴史で習った時から不思議だった「鎌倉幕府は何故将軍がいるのに執権が実権を握っていたのか」ということに非常にわかりやすい解答を与えてくれた。帯に「日本型リーダーシップの原型がここにある」と書かれているのが、読み進めば成程と納得できる。源氏将軍を支える御家人の代表団の代表だった北条氏が集団のリーダーから肥大化して権力を集中したがために滅びていくという過程にまさに現代の日本組織の教訓がある。北条氏の権力確定の時期は大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」に重なるため、小栗旬や山本耕史の顔がちらついてご愛嬌。2022/02/26
Koichiro Minematsu
49
日本史のダイナミズムは、まさに北条家一族にあり。2022/11/06
チャーリブ
45
北条氏の栄枯盛衰が「リーダー論」として語られている。著者はリーダーの資質を、「実力」「人脈力」「根回し力」の3つだと分析する。義時もこの3つのすべてにおいて卓越していたから、並みいるライバルに打ち勝って最高位に上りつめた。ドラマのような涙もろい善人では務まらない。「実力」の中には「陰謀力」も含まれ、リアル義時は相当の陰謀家だったにちがいない。ただ恐れられるだけでもだめで、御家人たちの「世論」を読む力も必要だった。みんながそう言うならオレがやるよという担がれパターン。現代でも通用する日本的リーダーだ。○2022/05/01
あらいぐま
44
鎌倉殿の13人を観て、義時以降の北条氏ってどんなだったっけと思い読みました。日本史でこんな人いたなとか思い出しながら、通史で読むと北条氏の成長、隆盛、衰退のダイナミックさがわかってとても面白かった。北条氏って将軍でもないのになんで長い間日本のトップに君臨できたのだろうと不思議に思っていたが、その疑問が解消された。著者があとがきで語っていた家の歴史として見たときに足利氏や徳川氏はここまでのダイナミズムはないという意見に納得。将軍と執権、執権と内管領という日本ならではの権力機構のあり方も大変興味深かった。2023/01/04
金吾
42
北条時政から滅亡までの北条氏の歴史を簡明に描いています。御家人との関係が印象的であり、その点が鎌倉時代の特性になると感じました。義時の権力奪取、泰時の権力安定化の流れがわかりやすかったです。また時宗や後醍醐天皇の評価はクスッとしてしまいました。徹底した滅亡は自業自得かなと思いました。2025/03/12