文春新書<br> 戦前昭和の猟奇事件

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文春新書
戦前昭和の猟奇事件

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  • サイズ 新書判/ページ数 253p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166613182
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0295

出版社内容情報

「哀切! 世に訴へる 肉親愛憎の極致篇」
ひと昔の週刊誌の煽りようですが、今では権威として知られる一流新聞に踊った見出しでした。

大正から昭和に入るころ、犯罪は現代と比べてひとつひとつが強烈な存在感を放っていました。新聞や雑誌が競い合って報道し、読者もこぞって読み漁る――。

そのような報道と受容の在り方が、昭和の時代とともにやってきました。本書では、その発端ともいえる、「鬼熊事件」(一九二六年)を皮切りにして、合わせて9つの事件とその報道の顛末を紹介します。

◎鬼熊事件
激動の昭和に入る直前。千葉の農村で七人を死傷し、四十日間もの間逃走した事件があった。犯人の鬼熊は、一躍メディアのスターに。

◎岩の坂もらい子殺し(1930年)
東京板橋の貧しい人々の町で、赤ちゃんを育てられない親から「養育金」を貰い、殺していた事件。記者と警察の思惑が絡み合い「大事件」報道化。

◎天国に結ぶ恋(1932年)
華族家の大学生と旧家の令嬢の心中事件が、女性の遺体盗難という猟奇的展開と相まって話題に。「二人の恋は清かった」と空前のブームになった。

◎翠川秋子の心中(1935年)。
日本初の女性アナウンサー翠川秋子。夫に先立たれながらも、働いて子どもを成人まで見届けた女性が選んだのは、家出と十数歳下の男性との入水自殺。彼女を追う記者たちの「働く女性への偏見」が炸裂。

◎日大生保険金殺人(1935年)。
実父の院長とその妻、娘が共謀して、放蕩息子の日大生を殺害。狙いは、彼にかけられた現在の一億円相当の生命保険金。当時はめずらしかった「保険金殺人」だった。当時の警視庁刑事部長も「前代未聞の犯罪」と唸る。

ほか◎阿部定事件(1936年)◎津山三十人殺し(1938年)◎チフス菌饅頭事件(1939年)◎父島人肉食事件(1945年)など有名事件を紹介。

内容説明

昭和は、事件報道の熱い時代だった。元女性アナウンサーと年下男の心中、女医の怨念こもるチフス菌饅頭殺人、岩の坂赤子殺しに親子保険金殺人、そして父島人肉食。大事件の裏に蠢く、強烈な愛と憎しみ、そして金勘定を、当時のメディアは遠慮なく、生々しく描き出した。

目次

0 鬼熊事件―大正十五(一九二六)年 代替わり目前、大正十五年夏の犯罪
1 岩の坂もらい子殺し―昭和五(一九三〇)年 三十人以上が無残な死…「スラムぐるみの衝撃的な犯罪」
2 天国に結ぶ恋―昭和七(一九三二)年 「純愛」と「猟奇」の狭間で 坂田山心中
3 翠川秋子の心中―昭和十(一九三五)年 日本初の女性アナウンサーが子どもの成人を見届けて失踪…その真意は?
4 日大生保険金殺人―昭和十(一九三五)年 「一億三千万円」の保険をかけ、父、母、妹が共謀…一家で息子惨殺の末路は?
5 阿部定事件―昭和十一(一九三六)年 愛の極致か変態か…伝説の女・阿部定
6 津山三十人殺し―昭和十三(一九三八)年 『八つ墓村』のモデルになった「世界記録」の大量殺人
7 チフス菌饅頭事件―昭和十四(一九三九)年 貢いで貢いで裏切られ…人々の同情を集めた「女医の復讐」とは?
8 父島人肉食事件―昭和二十(一九四五)年 戦争末期、離島でなぜ日本兵はおぞましい行為に走ったのか

著者等紹介

小池新[コイケアタラシ]
ジャーナリスト。1947年、千葉市生まれ。東京外国語大学卒。1972年、共同通信社入社。社会部、長崎支局、名古屋支社編集部次長、社会部次長、東京MXテレビ報道部長などを経て共同通信編集委員。退職後は、立教大学兼任講師(2008~2018年)などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

102
タイトル通り戦前昭和に起こった猟奇事件が紹介されている。主に新聞記事のタイトルと記事のあらまし、当時の世相などが書かれている。現在の新聞と違い事件のタイトルのなんとセンセーショナルなこと、スポーツ新聞とよく似ている。「阿部定事件」と「津山三十人殺し」は今でもよく知られている。猟奇事件というのは事件内容もだが報道のタイトルのキャッチーなところが影響されていると思う。その点では週刊○○などが引き継いでいるのかも。図書館本2021/09/12

GAKU

50
大正から昭和初期にかけて起こった猟奇事件を、当時の新聞記等を用い事件の内容、顛末を書いた1冊。『阿部定事件』、『津山三十人殺し』などのよく知られている事件をはじめ、計9つの事件が紹介されている。個人的には『岩の坂もらい子殺し』事件、『父島人肉食』事件が特に興味深かった。2021/09/06

Ayako

34
9つの事件の書かれた本。『八つ墓村』のモデルになった津山事件について読みたくて、手に取った。報道に着目して事件の本質を掘り下げているため、当時の社会的背景や世間の受け止め方も感じる事ができて興味深かった。「日大生保険金殺人」では、理想的な家族像から外れた事件を受け止められない当時の戸惑いを感じた。「翠川秋子の心中」では、働く女性への風当たりのあまりの強さに驚いた。また報道の大きさには、世間の目をどこに向けさせれば、政局にとって都合が良いのかという思惑が働いているという事実に納得した。2021/08/24

おかむら

33
世間をざわつかせた9つの事件を当時の新聞報道から解説。今でも有名な「阿部定事件」や「津山三十人殺し(八つ墓村)」はもちろん、衝撃的すぎる「岩の坂もらい子殺し」や「父島人肉食事件」、ちょっとマヌケな「日大生保険金殺人」と「チフス菌饅頭事件」などなど、当事ワイドショーや週刊文春やTwitterがあったら大変なことになってたよ、っていうハイテンションな事件の内容と新聞記事の見出しの過激さが面白かったー。2021/11/12

猫丸

14
9件の昭和猟奇事件について文献渉猟した著。このうち5件を知らなかったので勉強になった(何の?)。「日大生保険金殺人」が悲惨の中にもトボけた味わいを醸す。不行跡極まる息子を両親と妹が共謀して殺した事件なのだが、実際の刺殺に至るまでに何度も未遂を繰り返している。柳川鍋に亜ヒ酸を混入して毒殺をはかるが、鍋底に溶け残って失敗。コロッケに亜ヒ酸を練り込んで供したところ、そもそも食わず(コロッケは嫌いだったらしい)。蒼鉛剤を静注するように看護師に命じた(父は医者であった)ものの、尻に筋注して事なきを得る。2022/01/30

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