内容説明
クラシック音楽の世界には、「常人では達成不可能」な偉業を成し遂げた巨匠が何人かいる。その一人であるベートーヴェンは、どのジャンルにおいても史上最高の傑作を生み出してきた。生誕250周年を機に、この不世出の人物の生涯と芸術作品の特徴を紐解く。
目次
第1章 ベートーヴェンの家族、そしてその幼時
第2章 一八世紀の文化都市ボン
第3章 ウィーン時代の始まり
第4章 ベートーヴェンの初期
第5章 傑作の森―ベートーヴェンの中期
第6章 ベートーヴェン後期の傑作群
著者等紹介
中野雄[ナカノタケシ]
1931年、長野県松本市生まれ。音楽プロデューサー。東京大学法学部卒業。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)を経て、オーディオ・メーカーのトリオ(現・ケンウッド)役員に就任、代表取締役、ケンウッドU.S.A.会長を務めた。昭和音楽大学・津田塾大学の講師、映像企業アマナなどの役員も歴任。ピアニスト宮沢明子を起用して、日本初の『モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集』を企画制作(1973年)。「ウィーン・モーツァルト協会賞」など、内外で受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
65
私は中野雄氏の書く音楽本の愛読者である。多分すべて読んでいる。飛ぶ鳥を落とす権威であるドロシー・ディレイ先生の運指法を欠陥を鋭く指摘する文章に、喝采を送ったものだ(「ウィーン・フィル 音と響きの秘密」)。なのに、この本はどうしたことだろう。従来からのベートーヴェン評伝に加えて、新しい情報が付加されている訳でもなければ、ハッとする独自の解釈も一つもない。作曲家の生涯と作品をざっと概観するだけという表面的な内容。DVDの紹介なんて要らないから、もっと、中野さんの言葉でベートーヴェンの音楽を語ってほしかった。2021/01/14
KAN
8
生誕250年なんだけど、ベートーヴェンに関して(自分としては)関心が薄かったのは、コロナ騒ぎに始まる特にコンサートがこの春から低迷したこと、自分もコンサートに行くわけではないのだけれど、Youtubeでほとんど音楽への欲求が満たされた、ということかもしれない。しかし、いつでも聴ける、というのはそれゆえに貴重な音楽との一瞬の出会いというものを遠ざけてしまっているかもしれない。楽聖の生き様を知ることで、紡ぎ出された偉大な音楽ともう一度出会う必要があると感じた。2020/12/02
m
5
宝塚の予習に。ベートーヴェンの生涯や作った曲の流れがざっと分かるので知識がなくても挫折せず読めた。芸術家にとって何が起爆剤になるのかわからないところが面白い。一年遅れだが、今年は盛大に生誕250年をお祝いしたい。2021/01/25
H.T.
4
ベートーヴェンによる音楽の革命はどの様に成し遂げられたのか?名曲はどうやって「名曲」になったのだろう?彼の人生と時代の変化を通じて解説されている一冊です。 名曲の数々を残したベートーヴェンだが、意外にも英雄、運命、田園など初演はウケが良くなかった。彼はフランス革命と共に音楽に様々な変革をもたらし魅力的な曲を数多く描いたが、聴衆にウケるためには試行錯誤や時間が必要だった。 ベートーヴェンの様な天才であっても変革を起こす事はしんどいものだという事で、彼に対する親近感が湧いたとともに勇気をもらいました。2021/01/31
てんこ
3
ベートーヴェンの生涯と作品を一通り理解するには良かった。ただ、ある程度年代を区切って章立てして順に進んでいくが、各章の中では年が前後して書かれることが結構あって少々混乱した。時系列で書くなら一貫して時系列で進めてもらいたかった。複数曲を同時進行で作曲してたりすると書き方が難しいのかもしれないが。2021/02/05