内容説明
第一線の専門家同士が、未曽有の脅威のさなかにおこなった徹底討論。未知のウイルスにいかに立ち向かうか、顕わになった現代社会の脆弱性、その克服への道までを語り尽くす。分野や専門をまたぐ英知の結集が、解決の鍵を握る。
目次
第1部 未知の敵と闘うために(グローバル時代のパンデミック;新型コロナウイルスの“見えにくさ”;過去の闘いから何を学ぶか? ほか)
第2部 ワクチンと治療薬(新型コロナウイルスの現状をどう見る;治療薬はできるのか;人類とワクチン―現状と課題 ほか)
第3部 パンデミックと総合知
著者等紹介
瀬名秀明[セナヒデアキ]
作家。薬学博士
押谷仁[オシタニヒトシ]
東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授
五箇公一[ゴカコウイチ]
生態学者。国立環境研究所生物・生態系環境研究センター室長
岡部信彦[オカベノブヒコ]
川崎市健康安全研究所所長
河岡義裕[カワオカヨシヒロ]
東京大学医科学研究所感染・免疫部門ウイルス感染分野教授
大曲貴夫[オオマガリノリオ]
国立国際医療研究センター・国際感染症センター長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シタン
23
BS1スペシャル「ウイルスVS人類」および「ウイルスVS人類2」を再構成し加筆したもの。5人の“専門家”に話をききながら、新型コロナウイルス感染症について考える。新型コロナウイルスの特徴や、対策の困難さがわかる。 書き下ろしの文章も書いている作家・瀬名氏の存在感が強い。父が生物学者でウイルス学も研究していたとは知らなかったが、氏の視点によって人文的香りを帯びる。究極的に問われているのは「人間はどう生きるべきか」なのかもしれないが、まずは事実を共有することが重要だと思われる。総合知の希求は誰もが通る道……?2020/06/23
田中峰和
5
現在、蔓延する新型コロナウイルスは7番目でSARSやMERSも同種。表面の突起が王冠に似ているから名付けられたもの。新型がのど部分でウイルスが増え感染が広がるのに比べ、SARSなどは肺の中でしか増えない。のどが痛い程度の感染者が普通に行動し感染を広げクラスターが形成されたのが新型の特徴。のど部分から肺までウイルスが増えた人が重症化するという2段階の感染者がいるから複雑だ。欧米だけでなく、国内でも再度感染が広がる中、ワクチン開発は進むが、十分な量を確保するには2年以上かかる様子。経済打撃は感染より恐ろしい。2020/11/04
geki
4
SF作家であり、科学者の顔も持つ瀬名秀明氏がナビゲータとなって、コロナ禍前線で戦う有識者に収束の見通しとワクチン開発について問う。瀬名氏がコロナ禍を通して獲得した知見が素晴らしい。新しい世界には、一人ひとりのempathy(他人を思い遣ること)が大事なのだ。2020/07/26
aochama
3
NHKBS1で放送された内容の書籍版。今年5月末時点の内容ではあるものの、そこまでの知見が活字で整理されているのは、ありがたい。放送やSNSは、フロー情報なので、玉石混淆となり勝ち。整理された情報で俯瞰し、現状を確認することが冷静な対応につながると思います。2020/08/31
U-Tchallenge
2
新型コロナウイルスについて書かれた本の中では、かなり専門的な部分に触れられている一冊のように思う。専門的ではあるが、新書でありテレビ番組が基となっているので読みやすさは担保されている。瀬名秀明氏が述べられている、新型コロナウイルスにより「人間らしさ」が浮き彫りになった、という指摘はとても納得のいくものであった。新型コロナウイルスにより、自分で判断せざるを得ない状況が増えた。それはストレスのかかることではあるが、判断することが人間だからこそできることなのである。この記述には考えさせられた。2021/02/19