内容説明
「種馬公方」と揶揄されがちな家斉。映画やドラマでは常に脇役扱いで、評伝などもほとんど見当たらない。しかし、明治期に「古きよき時代」と懐かしがられたのは彼が50年にわたって治めた文化文政の世だった。華やかで、のびやかな権力者生活を謳歌した十一代将軍とその時代を詳らかにする。
目次
はじめに 家斉のススメ
第1章 「斉」の全国制覇
第2章 十一代将軍への道
第3章 「生」への執念
第4章 「政」はお任せ
第5章 あれもこれも
第6章 赤門の溶姫様
第7章 江戸の弔鐘
エピローグ 浜御殿
著者等紹介
岡崎守恭[オカザキモリヤス]
1951年東京都生まれ。早稲田大学人文学科卒業。日本経済新聞社で北京支局長、政治部長、編集局長(大阪本社)などを歴任した。歴史エッセイストとして、国内政治、日本歴史、現代中国をテーマに執筆、講演(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鉄之助
290
徳川11代将軍・家斉。多くの側室に50人以上の子供を産ませ「種馬公方」と皮肉られながら江戸時代最長、50年の治世を行えたのはなぜか? 在位2位の吉宗29年をはるかに凌ぐ。「遊王」のタイトルにも興味があって読んでみた。本来は将軍を継げない一橋家に生まれたからこそ、長期政権が誕生した逆説が面白かった。2021/10/07
さつき
74
徳川家斉と聞くと、とにかく子沢山というイメージしかなかったです。その将軍在位が五十年に及ぶ長期だったとは改めて驚きました。初めて聞くエピソードが沢山で特に印象的だったのは、将軍になった経緯(松平定信とのかかわり)沢山の子供達の嫁入り、養子の押し付け。(水戸家はそのために藩内が割れた)また、厄年に参詣に行き様々な寄進をして川崎大師を支援したこと。着物のお召は家斉が普段着として愛用したことから、そう呼ばれるようになった。などなど、今に伝わる文化も家斉の時代に誕生したものが多いそうです。2020/07/25
terve
33
徳川家斉とは何ものか。在位50年。大御所政治をしている割に評伝もないなぁ…と思いつつ購入。エッセイストとして執筆しているため、手軽に読めるところは良いところか。筆者の言うとおり、家斉の評価は確かに過小であるかもしれないが、少々独善的な論調が見え、参考程度にしかならない内容であるのは残念だと思う。とはいえ、研究者ではないからこそ執筆可能な内容であるという一面はある。いずれにせよ、専門書という訳ではなく、あくまでも知りたい人のための本だという立ち位置ではないかと思う。2020/06/23
金吾
26
在位が長いだけの種馬将軍だと思っていました。政治の私物化等はあっても、平和な時代を象徴できる将軍であることに納得させられる話であり、良かったです。2024/07/30
速読おやじ
23
1787年から1837年までの江戸幕府最長在任期間記録を打ち立てた将軍は誰?というクイズが出ても多分答えられない人続出だろう。50年の間に松平定信の寛政の改革が行われ、町人中心の化政文化か栄え、しかし晩年に近くなると天保の大飢饉や、大塩平八郎の乱が起こっている。家斉が何も策を取らなかったから、この後徳川時代は終わりを告げたともいえるが、逆に言うと何事も起こらず平和な江戸時代最後のピークを家斉は何もしない事で成し遂げたのかもしれない。エロ将軍などと揶揄されることもあるユニークな将軍。知って良かった。2021/09/23