出版社内容情報
海底火山の熱水、硫酸並みの汚染水、死海……驚異的な条件下でしぶとく生きる微生物の正体と素晴らしい利用法に「発酵仮面」が迫る!くさいが美味い! 小さいがしぶとい!
酵母、細菌、カビの神パワーに発酵仮面が迫る!!
古来から日本人は、麹(酒)、味噌、醤油など、微生物のはたらきを利用した食品を大切にしてきた。発酵によってアミノ酸など「うまみ成分」が増し、保存期間も長くなる。また、健康維持に「腸内細菌」が大きな役割を果たしていることも近年わかってきた。まさに人類は、微生物に支えられて生きてきたのである。
それだけではない。この地球上には人類が考えもつかないような“超能力”をもった微生物が、まだまだ無数に存在していることが明らかになってきた。
たとえば、100℃以上の熱湯中に生きる微生物、超高濃度の塩水(死海)に生息する微生物、硫酸なみの強酸や強力放射能を浴びても死滅しない微生物……。
しかも、人類に天の恵みをもたらしてくれる微生物も続々発見されている。
動物性脂肪を植物性油脂に変換する微生物、天然希少香料を醸す微生物、汚染物質や有毒化学物質を分解してしまう微生物、天然資源(レアメタル)のありかを探し出す微生物……。もちろん、新たな抗生物質、特効薬を作り出すのも微生物だし、食糧難を解決してくれる可能性さえ秘めている。
分子生物学の進歩によって、「ゲノム編集」「遺伝子組み換え」がブームだ。しかし、人為的にDNAを組み換えてわけのわからない生物をつくるより、自然界にまだまだ人知れず存在する“超能力微生物”を見つけ出してきて利用するほうが、はるかにエコロジカルかつ合理的ではないか。
驚愕の「微生物グルメ」のエピソードも満載!
味覚を刺激されつつサイエンスのミステリーにせまる「発酵仮面」の真骨頂ここにあり!
小泉 武夫[コイズミ タケオ]
内容説明
美味なる酒や発酵食品をもたらす微生物には謎が多い。地球上にはまだ未知の微生物が無数に存在し、濃硫酸の中でも生存したり、強力放射能の被曝にも耐えられる種が新たに発見されている。人間の常識を超える微生物の正体にスリリングに迫る。
目次
はじめに 最新生命工学を超える「しぶといやつら」
第1章 超能力微生物とは何か
第2章 地球上に現存する超能力微生物
第3章 「発酵」にみる超能力微生物の底力
第4章 超能力微生物の王者「野生酵母」へのチャレンジ
第5章 超能力微生物が人類を救う
おわりに 野生にはまだまだ宝が眠っている
著者等紹介
小泉武夫[コイズミタケオ]
東京農業大学名誉教授(農学博士)。1943年福島県小野町の酒造家に生まれる。東京農業大学農学部醸造学科卒業。専門は醸造学、発酵学。ありとあらゆる微生物および発酵食品を研究対象とし、世界中の発酵食物を味わいつくしてきた。現在、広島大学、鹿児島大学、琉球大学、石川県立大学、福島大学等の客員教授を務める。NPO法人発酵文化推進機構理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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