出版社内容情報
いまや大学生の2・6人に1人が利用する奨学金。だが返済に追い詰められる例が急増中。日本の未来を食い潰すシステムの暗部に迫る!
内容説明
いまや約4割の大学生、100万人以上が借りる奨学金。だが、容赦のない取り立てと厳しいペナルティで返済に行き詰まり、親戚にまで厳しい請求が行く例が相次いでいる。奨学金で人生を棒に振らないための処方箋をここに公開!
目次
まえがき 奨学金でローン地獄に突き落とされる若者たち
第1章 奨学金返済の実態
第2章 苛酷な取り立ての実態
第3章 「延滞金地獄」のパターン分析
第4章 世界に逆行する日本の教育費政策
第5章 若者を奴隷化する日本の奨学金政策
第6章 「新しい奨学金」の利用法と注意点
第7章 必読!返せなくなったときの対処法
あとがき 日本の教育は世界から転落する
著者等紹介
今野晴貴[コンノハルキ]
1983年、宮城県生まれ。NPO法人POSSE代表。一橋大学大学院社会学研究科博士課程在籍(社会政策、労働社会学)。著書『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(文春新書)で大佛次郎論壇賞受賞。2006年、中央大学法学部在籍中に、都内の大学生・若手社会人を中心にNPO法人POSSEを設立。年間2000件の労働相談に関わっている。ブラック企業対策プロジェクト共同代表もつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
84
大まかにかいつまんで読んでみた。あとがきから読むと、日本の教育は世界から転落すると書かれていた。国立大学の学費が30年で15倍に高騰、安定した職業も減っている。そんな中で今、大学に進学する者の4割、100万人以上が奨学金を借りている。しかし奨学金を病気や就職の失敗、家族の収入減や本人の死亡等で連帯保証人に高額の請求がいくこと。奨学金という名ばかりでその実態は血の通っていないただの金融業と同じではないか。途中世界でも異様な教育費政策という項もあった。大学においては高授業料、低補助だということを知った。2017/07/04
ばりぼー
38
奨学金を借りている学生は約4割に上り、一人当りの合計借入学の平均は無利子の場合で236万円、有利子で343万円にも上る(2015年度)。就職しても返済することができず、15年度に日本学生支援機構(JASSO)がとった法的措置は8713件にも及ぶ。日本の奨学金制度はほぼ全てが「貸与=借金」であり、貧困などに陥ったとしても連帯保証制度を通じてどこまでも返済を迫られる。経済的に困難な場合に適用される救済制度(減額返還、返還期限猶予、返還免除)もほとんど利用できず、退学や自己破産に追い込まれる者が後を絶たない。2018/03/04
りょ
36
奨学金を借りなければいい、と短絡的に考える人がいるけれど借りざるを得ない人も居る。自分自身も、大学院で奨学金を借りてたので、社会人の今返し続けている。自分の場合は、自らの意思で借りて、今も問題なく返し続けているが、「返せる現状で本当に良かった」といつも思う。本書を読むと、様々なえげつない事例を知ることができる。自分の経験上、良くないと思うのは、学校で奨学金の説明の時にマイナスの部分をしっかり説明しないことだと思う。場合によっては綺麗事の塊のような動画を見せられるから、本当に良くない。無知の先生も多いし。2020/01/16
緋莢
27
図書館本。約4割の大学生、100万人以上が利用する奨学金。卒業し、就職して何事もなく返していければ問題ないが、ひとたび返済が滞れば容赦のない取り立てと厳しいペナルティ、果ては保証人となっている親や親せきにまで請求がいく事も。シェルターに逃げ込んだ女性にまで取り立て訴訟を起こす、ほとんど使えない返還期限猶予制度等、驚く事ばかりでした。一番手っ取り早い方法は給付型奨学金以外は 全て「教育ローン」という名称に変更し、ローンの内容を 熟知させ、猶予制度を分かりやすくする事でしょう。2018/01/13
skunk_c
23
今野氏らしい大きな視野からの分析と、POSSEのヴォランティアが足で集めた裁判記録を組み合わせ、日本学生支援機構(JASSO)が学生の支援とはほど遠い「取り立て」を行う実態を詳しくレポート。貸与型は実質はローンであり、JASSOのホームページでその堅実な資産運用(つまり厳しい取り立て)を誇っているという話には唖然。結局利息稼ぎってことだ。奨学金がかつての前借金の役目を担って、ブラック企業・バイトからの足抜けを困難にしているという指摘はこの著者ならでは。減額法や万が一の手段など具体策も紹介されている。2017/07/03