出版社内容情報
人の幸せは、生存の非情な面と裏合わせ。そのなかで「自分で自分の一生の主人であろう」としてきた孤高の思想家が語る珠玉の幸福論。
昔の日本人は幸福に暮らす術を知っていた
人の幸せは、生存の非情な面と裏合わせ。そのなかで「自分で自分の一生の主人であろう」としてきた孤高の思想家が語る珠玉の幸福論。
内容説明
戦前の最先端都市、大連で少年期を過ごし、その後の熊本への引揚げですべてを失い、戦後を身ひとつで生きぬいてきた著者。「自分で自分の一生の主人であろう」としたその半生をもとに語られる幸福論。
目次
序 人間、死ぬから面白い
1 私は異邦人
2 人生は甘くない
3 生きる喜び
4 幸せだった江戸の人びと
5 国家への義理
6 無名のままに生きたい
著者等紹介
渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年京都生まれ。大連一中、旧制第五高等学校文科を経て、法政大学社会学部卒業。評論家。河合文化教育研究所主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
102
『逝きし世の面影』で知られる作者の人生論。自己実現や成功、出世を目指すことなく、謙虚に控えめに生きることを説いている。さらに自分の置かれた立場を受け入れることの重要性が述べられている。現在主流となっている人生論に真っ向から異議を唱えるところが面白い。無名のまま生きて、無名のまま死んでいった多くの日本人に敬意を捧げているところが、本当に素晴らしい。偉人だけではなく、普通の人々がこの国を作ってきたのだ、とこの本を読んで改めて思った。2018/07/30
どんぐり
81
石牟礼道子さんと併走してこの世を去った渡辺京二さん(1930-2022)の2014年の著作。インタビューをもとにした本で、内容は雑駁。人間死ぬから面白い、モメンタクに生きるのが人間の習性など、老境に入った人の身も蓋もない話が多い。皆が自己顕示に汲々としている世界で、「私の理想は、無名のうちに慎ましく生きて、何も声を上げずに死んでしまうことです」と語っていた。2024/07/14
岡本正行
74
題名に惹かれて、図書館から借り出しした。内容的には、必ずしも感動するというものではない。文学者として、それなりに読者に感動を与えてほしいものだ。一個人としての人生の感想などは、誰しも持っている。功成り名遂げて、大臣や博士、あるいは社長になっても、脳の隅っこから、それがどうした、最後はみんな一緒!ただの爺さんじゃない、そんな声が聞こえる。もっと夢を持たせて欲しかった。無名の人生って表題だから、それはそれ、本好きの読者は、そう思っていない。本の中にこそ、ほんとうの人生があると信じ切っている。最後まで酔わせて2024/09/11
ネギっ子gen
62
【「歳取り損ない」の私が、80を越しても相変らず幼稚な私が、人生について何かものを言うこと自体滑稽である】と思っていたのに、藤原書店の雑誌『環』からご縁がある編集者のインタビューに応じているうちに、「自分で自分の一生の主人であろう」とエールを贈る人生論・幸福論といえる、この新書になったと。<石牟礼さんがこう言っています。この世に生命が存在すること自体がこの世の間違いな気がする――つまり、この世界と生命とは、根本的に適合しないもので、この世に命があるということが非常に危なっかしい不自然な在り方に思える>。⇒2023/03/07
KAZOO
60
渡辺京二さんの若者向きに書かれた人生論ではないでしょうか?かなりご自分の経験などを引き合いに出されてのことで、今の若い人には向かない部分もあるやに感じます。私くらいの年齢になってしまうと渡辺さんの言わんとすることはよく理解できてかなり共鳴する部分がありました。2015/03/21