文春新書
伊勢神宮と天皇の謎

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  • サイズ 新書判/ページ数 269p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166609086
  • NDC分類 175.8
  • Cコード C0295

出版社内容情報

伊勢神宮は20年に一度建て直す──常識のごとく語られる式年遷宮の「神話」。だが史実を紐解くとそこは秘史・秘話にあふれていた。

内容説明

二〇一三年はお伊勢さまで六十二回目の「式年遷宮」が挙行される。六九〇年に始まる歴史をつぶさに見ると、女帝の執念や百二十余年の中断期、社殿の変化、神仏習合の波、近代国家建設の影響、万世一系の思惑など、様々な変転が見てとれる。歴史に通暁した建築家が描き出す、真の伊勢神宮の姿とは?―。

目次

序 伊勢神宮は古代のままか(伊勢神宮とは;知られざる伊勢神宮の変遷)
1 式年遷宮から何が見えるか(式年遷宮とは何か;式年遷宮を生み出したもの)
2 反目していた内宮と外宮(内宮と外宮の関係略史;「外宮先祭」の謎)
3 伊勢神宮の今と昔(社殿配置の今と昔;社殿の今と昔)
4 天皇の伊勢神宮(“はじまり”の時 持統天皇の式年遷宮;“古代”を喚起する近代 明治天皇の式年遷宮)

著者等紹介

武澤秀一[タケザワシュウイチ]
著述家・1級建築士/博士(工学・東京大学)。1947年、群馬県前橋市生まれ。東大工学部・同大学院をへて東大助手を務めたのち、建築設計事務所を主宰。東大、法政大学、武蔵野美術大学、放送大学で非常勤講師を歴任。建築が政治史・宗教史・文化史を牽引し、また舞台ともなってきたことに注目して歴史と世界観の見直しをおこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たきすけ

57
伊勢神宮の事・皇祖アマテラスの事を勉強しようと思い購入。本書は「20年に一度の式年遷宮の慣行により古代から姿を寸分違わぬ社殿」という諸説に異を唱え、その根拠を時代の流れ・政治利用・建築様式といった見解から読み解く事をメインテーマにした一冊。誤解なく歴史を認識しその先へと繋げる。そういった意味で本書は一つの強いエビデンスを秘めていると思いました(外宮と内宮の対立の歴史にも正直驚かされましたが逆にスッキリした感があるのは自分の中でやはり人間の積み上げる不確定要素がはっきりと示されたからなのでしょうか、、)2016/04/22

AICHAN

33
図書館本。式年遷宮されているから伊勢神宮は太古から同じ姿をしていたのだろうと漠然とそう思っていたが、そうじゃないとこの本で知った。伊勢神宮に祀られている内宮の神はいうまでもなくアマテラス。天皇の祖先神なのになぜ奈良や難波や京都ではなく伊勢にあるのか。そのあたりのことも知りたくて読んだのだが、それについてはほとんど触れられておらず、内宮と外宮の歴史と構造やら何やらが延々と綴られる。持統天皇がアマテラスになって孫の即位(天孫降臨)に繋げようとしたという見方はどうかなと思った。なぜなら→2017/04/30

isao_key

7
伊勢神宮は式年遷宮のはじまった当初からの姿をそのまま今に伝えていると、一般に広く思われている誤謬を解くのが本書のねらい。建築された当初は社殿は立派ではなく、柱や堅魚木は今より細く金色で飾られてはいなかった。神宮は建て替えること自体に意味があり、建築行為がそのまま政治的・宗教的行為だったと著者は主張する。また神道という語をシンドウと濁らずにシントウと清音で読むのは、何事もありのまま、自然体がよいという考えからで、伊勢神宮の茅葺きは先端を切り揃えず、垂木も削らないと、室町時代の良遍という天台僧が述べたとある。2014/07/20

koji

5
伊勢神宮のお参りに合わせて再読。更にNHKが1月1日に放送した「伊勢神宮」も再見しました。現地の神聖に触れた後では、流石に読み方、見方が変わります。万世一系、天孫降臨とどう結びつくか、明治維新後の天皇制が作られた過程と伊勢神宮が果たした役割は、やはり本書が指摘するように、意図があるものでしょう。1回目の「(本書の)天皇論は一寸残念」という読みの浅さは恥じ入ります。これを機会に、安丸良夫集や瀧井一博「伊藤博文 知の政治家」あたりを渉猟し、近代日本社会の深部と日本人論、その背後に蠢く魑魅魍魎に挑戦したいですね2014/02/02

coldsurgeon

4
「伊勢神宮は、式年遷宮のはじまった当初からの姿をそのまま今に伝えている」わけではなかった。当初のままというのは願望が生み出した幻想であり、新たに作られた神話だった。神宮は国家レベルでの物語を熟成する器だった。伊勢神宮が持つ不思議な力に身をゆだねるだけでなく、その拠って立つところを直視することが必要だ。2013/08/01

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