文春新書
高橋是清と井上準之助―インフレか、デフレか

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  • サイズ 新書判/ページ数 255p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166608584
  • NDC分類 332.107
  • Cコード C0223

出版社内容情報

昭和初期のインフレ・デフレ論争。インフレ派高橋とデフレ派井上。ふたりの闘いと失敗を活写した歴史経済ノンフィクション。

内容説明

いまの日本に必要なのは、国債バラマキか、それとも財政緊縮か。昭和のはじめ、同じ問題に直面していた。インフレ政策の高橋是清と、デフレ政策の井上準之助。だが、ともに劇薬の扱いを誤り、この国を悲劇へと導いた―渾身の歴史経済ノンフィクション。

目次

幸せを持って生まれた赤子
日露の勝利を公債で買う
初めての大蔵大臣
急成長、総てはここから
恐慌を拡大した関東大震災
枢密院が起した金融恐慌
世界に出遅れた金解禁
金解禁内閣の発足
暴風に向かって窓を開ける
理念は足元から崩れた
日銀引き受けという新手
明治は遠くなりにけり
ユダとなって怨念を晴らす

著者等紹介

鈴木隆[スズキタカシ]
1931年生まれ。横浜国立大学経済学部卒業後、日本経済新聞社入社。山一證券の危機を察知し、65年の日銀特融にいたる救済劇を取材。72年、証券部長。83年、データバンク局長として「日経テレコン」をスタートさせ、日経の総合情報産業化に貢献する。90年に退社後、日経BP副社長、社長、会長を歴任。98年~2000年、日本格付投資情報センター社長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

62
10年前、出版直後に買いながら積んであったものを引っ張り出して読了。著者は執筆時80才を数える経済ジャーナリストで、独特のリズムのある筆致で、この二人を軸に明治~昭和初期の経済史を中心とした歴史を語る。人物像の描き方がうまく、この二人のほか浜口雄幸、若槻礼次郎など多くの人物が活動する様を活写している。年号を元号で通しているので(さすがにウォール街のあの事件は西暦だが元号併記)、換算するのに手間取った(昭和はともかく明治・大正は海外の出来事との関連を見るのに面倒)が、ある意味著者の立ち位置が知れるか。2022/01/19

さきん

33
中々、国内消費が回復せず、消費増税をされようものなら、また明確なるデフレに戻りそうな2018年の日本。社会保障の支出は増大しているといっても、次世代への投資や国内への投資が緊縮財政といっても過言ではない現状において、人口動態や産業構造以外に似たような状況に置かれた高橋是清氏の金の輸出禁止(金融緩和)、財政出動をもってのケインズを先取りした政策は注目に値すると思った。また、金本位にあくまで拘った井上準之助氏をはじめとする緊縮財政派は、今の財務省、アベノミクスを貫徹しえなかった安倍政権と重なって見えてくる。2018/12/09

shimaosa

6
経済に関しては門外漢にも程があるけれどもなかなかに興味のもてる描き方だった。明治からの歴史を概観しながら経済について述べているので非常にわかりやすく経済の動きがわかった。2013/12/18

スズツキ

5
タイトルの二人は日本史で必出の大蔵大臣で、ともにその経済政策を目の敵にされて暗殺された人物。しかし、二人の取った政策は全く異なる。金輸出を解禁してデフレ政策をとった井上と禁止してインフレ政策をとった高橋。他の要素が絡みついたこともあるが、歴史的には高橋の政策により日本は好景気を迎えることになった。悲しいのは軍費縮小を訴える高橋に若い軍人が反感を覚えたことが暗殺の原因の一旦とも言われているが、高橋が日露戦争の陰の英雄と軍で呼ばれていた事実を若い世代が全く知らなかったということ。2014/08/03

しんさん

4
「天佑なり」の高橋是清、「男子の本懐」の井上準之助、それぞれの人生や政策がわかりやすく書かれている良書でした。一般的に勝者といわれている是清にも、「政治に不向き」「国際的金融マフィア」「軍の台頭により自信を失った後期高橋財政」など、距離を置いて評価しているのがよいですね。学びがとても多かったので、ちびちび読み直しています。 メモ:是清=円安、低金利、積極財政のインフレ政策。準之助=円高、高金利、緊縮財政、金本位制のデフレ政策。 2020/11/25

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