文春新書
イエスの言葉―ケセン語訳

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  • サイズ 新書判/ページ数 251p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166608393
  • NDC分類 193
  • Cコード C0216

出版社内容情報

「頼りなぐ、望みなぐ、心細い人ァ幸(すあわ)せだ」。岩手県気仙地方の方言・ケセン語で訳された聖書。被災地から届いた救済の言葉。

岩手県大船渡市の医師でカトリック信者の山浦玄嗣氏が、地元の方言「ケセン語」で聖書を訳したのが10年ほど前。地元の小さな出版社からの出版でしたが、ズーズー弁をしゃべるイエスの評判はバチカンまで届き、04年には当時の教皇ヨハネ・パウロ2世に謁見するまでに。
  本書では、その中から誰でも知っているイエスの言葉をピックアップ。精霊とは何か? なぜ貧しい人が幸いなのか? 新共同訳聖書ではわからなかった意味が、ギリシア語の原典にあたり、ケセン語へと訳されていく過程で明らかにされます。さらに、著者自身の震災体験が、「救済とは?」「祈りとは?」といった考えに深みを与えていいます。ナマっているイエスの言葉は、限りなく優しく、ときにお茶目。これまでのキリスト教のイメージが覆される一冊です。

内容説明

ケセン語=岩手県気仙地方の言葉で訳された福音書が、なぜこんなにもわかりやすいのか。信仰とは?聖霊とは?愛するとは?難解だった聖書の世界が身近になり、絶望の淵から立ち上がる勇気を与えてくれる。

目次

神さまの思い
イエス登場
本当の幸せへ
善し悪しを知る木
バベルの塔
心を切り換えろ
心の貧しい人
幸いと幸せ
泣いている人
甲斐性なし〔ほか〕

著者等紹介

山浦玄嗣[ヤマウラハルツグ]
1940(昭和15)年東京生まれ。生後間もなく母方の故郷岩手県釜石市に移住し、その後気仙郡越喜来村に疎開。東北大学医学部、同大学大学院(外科学専攻)卒業後、同大学抗酸菌病研究所助教授。86年故郷に戻り、大船渡市盛町で山浦医院を開業。現在に至る。医師としての仕事の傍ら、気仙地方の方言をケセン語として研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

51
気仙地方の方言を「ケセン語」として研究する医師が、大津波が東北の太平洋側を襲い、甚大な被害を与えて故郷の地が壊滅状態になる中で、<津波でつぶれた倉庫の残骸の中から奇跡的にケセン語訳聖書の在庫>が見つかり、津波の洗礼を受けた聖書として、日本中の感動を呼んだ。その後<ケセン語訳聖書がこんなに多くの人々に喜ばれ、受け入れられているのは、難解だった聖書の解釈をほんとうにわかりやすくしたからです。この心を全国の人に伝えたい>という編集者の熱意が、この新書を生んだ。「セケン(世間)語」に訳して、というセンスに感服。⇒2020/04/29

ひまわり

32
ケセン語もあったかくて良かったけれど、ギリシャ語の本来の意味をよくぞ解説してくれたと感動。聖書を読んでもぴんとこないどころか、反発を招きかねない文が、本当はこういう意味だったのかと。イエスが生きた時代の小さくされた人々と震災の前や後の東北地方の人たちが重なって、涙を流しながら読んだ。つらい中にあっても「永遠の命を得る」。いつでも明るく元気で活き活きと生きる。それが信頼するということ(信じるとは信頼すること)2022/07/28

Koning

22
東日本大震災で思いきり津浪にやられた山浦さんのケセン語訳聖書翻訳ノート兼信仰告白といった新書。タイトルの通りイエスの言葉を中心に本当はこういうことだろ?と畳み掛けて来る感じ。以外と読み応えがあったり。真福八端あるいは山上の垂訓の解説部分なんかは今までの訳語って日本語の意味を逸脱してるからちっとも伝わらないんだよ。という作者の叫びが伝わって来ます.翻訳ってそうなんだよねぇ。そして、やはり終盤のエリ・エリ・レマ・サバクタニの所はFEBCのインタビューでも言っていたけれど、(続く2013/05/05

梟をめぐる読書

13
「ケセン(気仙)語訳」そして「セケン(世間)語訳」聖書の著者が、聖書本文からの抜粋(ケセン語と新共同の対訳)を交えながら、日本人の肌に合った聖書の訳しかたを優しく説き起こす。なるほど「心の貧しい人」とは「頼りなく、望みなく、心細い人」のことであり「永遠の命」とは「いつでも明るく活き活き幸せに生きること」のことなのだと考えるだけで、イエスの訓示は私たちにぐっと身近なものになる。「隣人愛」のような概念の解説が空虚な絵空事に終わらないのは、3.11による被災の経験を踏まえて著者がメッセージを届けているからこそ。2013/03/28

不識庵

8
キリストがぐっと身近になる。天から降り注ぐ神の声というより、隣に座って優しく語りかけるようなイエスがいる。聖書の言葉がケセン語(岩手県気仙地方の言葉)で躍動する。「心の貧しい人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである。」(新共同約)。貧しくとも心ゆたかな人なら、あるいはそうかもしれないが…ケセン語にするとどうだろう。「頼りなぐ、心細い人ァ幸せだ。神さまの懐に抱がさんのァその人達だ」。江戸弁ではないが、イエスさんが旅先で出会った寅さんのようである。本書のなかで、寄り添うイエスがいきいきしている。2017/07/31

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